1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63570990
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井深 俊郎 京都大学, 薬学部, 助教授 (80025692)
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Keywords | キラリティ / 不斉転位反応 / 有機銅ールイス酸複合剤 / 立体選択的合成 |
Research Abstract |
昭和63年度の研究実施計画にもとづいて研究を実施し、ほぼ計画通りの満足すべき成果を挙げることができた。 1. キラリティ転写反応による不斉αーアルキル化に使用するα,βーエノエイトのγー位の脱離基としては種々検討の結果、メキロキシ基またはトシロキシ基が最高の結果を与えることが判明した。 2.有機銅ールイス酸複合体による不斉転写の有機銅の種類、合成法について検討を加えた結果、1価の銅としてはシアン化第1銅が最適であり、通常用いられる塩化第1銅、臭化第1銅、及びヨウ化第1銅などは良好な結果を与えないことが明らかとなった。またグリニヤー系試薬より合成した有機銅は選択性に乏しいが、アルキル・リチウムより合成した有機銅は極めて高い選択性を示すことも明らかとなった。また有機銅に添加するルイス酸としては、3フツ化ホウ素が最適であることも判明した。 3.キラリティ転写反応は溶媒により反応速度に大きな差がある。通常有機銅反応にはエーテルが良好な結果を与えるが、このキラリティ転写反応に於てはエーテル中では全く反応が進行しない。しかし、よりルイス塩基性の強いテトラヒドロフラン中では-78°という低温でも5分以内に反応が完結し、しかも化学収率、立体選択性も極めて高いことが明らかとなった。 4.キラリティ転写反応に及ぼすα,βーエノエイトの2重結合の立体化学について広範囲な検討を加えた結果、基質の2重結合の立体化学に影響されることなく、目的とする(E)ーβ,γーエノエイトのみが極めて高効率で得られることが判明し、合成化学上極めて重要な知見が得られた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 井深俊郎: J.Chem.Soc.,Chem.Commun.342-344 (1988)
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[Publications] 井深俊郎: Chemistry Express. 3. 53-56 (1988)
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[Publications] 井深俊郎: J.Org.Chem.53. 3947-3952 (1988)
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[Publications] 井深俊郎: Tetrahedron. 45. 435-442 (1988)
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[Publications] 山本嘉則: J.Am.Chem.Soc.110. 617-618 (1988)
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[Publications] 山本嘉則: "Chemie-Biochemie:Chiralitat" G.I.T.Verlag, 119-133 (1988)