1988 Fiscal Year Annual Research Report
細菌によるバイ(海つぼ)毒化のメカニズム解明及びバイ毒素の合成
Project/Area Number |
63571000
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
辻 邦郎 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (70046283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 均司 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (40137071)
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Keywords | prosurugatoxin / neosurugatoxin / Babylonia japonica / 毒素 / 分解 / 合成 / 定量 / 海洋 |
Research Abstract |
バイの毒化原因として、それまでのプランクトン起源とは異なり、細菌が関与することを明らかにしたが、何故、特定の海域、種属のみが毒化したのか、毒素産生菌と環境因子、バイ毒化のメカニズム解明を目的に研究を行なった。 これらのことを検討するには、不安定なバイ毒素の微量検出法の確立が必要である。微量で不安定な毒素を直接定量することは困難であったので、バイ毒素を立証する安定で特徴的な分解物を検出するという間接的な方法を考え、バイ毒素の主成分であるprosurugatoxinの酸及びアルカリによる分解を検討した。即ち、_<0-1>NHcl及び5%AcOH中40℃、48hr処理しHPLCで検討したところ、酸分解での主生成物はsurugatoxinであった。しかし、80℃という高い温度ではsurugatoxinは更に分解してしまう。酸分解において反応液が蛍光を発することが観察されたので、蛍光検出器を用いてHPLCを検討したところsurugatoxinとは異なる溶出位置に強い蛍光ピークを認めた。又、_<0-01>NNaOH、_<0-01>NNH_4OH中40℃、48hr処理では、HPLC上、数種の特徴的な分解物が生成しprosurugatoxinからの変換率もよく、しかもneosurugatoxinのアルカリ分解でも同じピークが認められ、バイ毒素を間接的に定量するに適切な分解物と考えた。そこで培地に、prosurugatoxinを加え、アルカリ分解後ODS→CM-Sephadex→DEAEカラムで前処理し、HPLCにて定量する方法を確立した。この方法を用いて我入道海域の生物の調査を行なったが、バイ以外には毒素の存在は認められなかった。又、採取できたバイの数は少なかったが、毒性に個体差が大きく、全く毒素を含まないものが約半数であった。 自律及び中枢神経系のニコチン性受容体に特異的に作用するバイ毒素の要望が多いが、中間体(I)の合成まで進んでいる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Yamada;H.Ushijima;K.Nakayama;E.Hayashi;K.Tsuji;T.Kosuge: European J.of Pharm.156. 279-282 (1988)
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[Publications] R.B.Billiar;J.Kalush;V.Romita;K.Tsuji;T.Kosuge: Brain Res.Bull.20. 315-322 (1988)