1988 Fiscal Year Annual Research Report
枯草菌tRNA中の微量修飾ヌクレオチドの探索とその化学構造の決定
Project/Area Number |
63571005
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
村尾 捷利 自治医科大学, 医学部, 助教授 (20049068)
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Keywords | tRNA / アンチコードン / 微量修飾塩基 / 5ーメトキシウリジン |
Research Abstract |
枯草菌を大量培養(10lx80回)し、tRNAを約45g得た。DEAEーセファロースを初め数種のクロマトグラティーでアミノ酸特異的に分画した。アミノ酸受容活性をうまく測定できないものを除き、各画分についてすべて16種類のアミノ酸受容活性を調べた。80%以上の純度に精製が進んだものは、Ala、Arg(2)、Asp、Asn、Gly(2)、Glu、Gln、His、Ile(2)、Leu(3)、Met(f、m)、Phe、Pro、Ser(3)、Thr、Tyr、Val(2)などである。これらのtRNAの中にはすでに塩基配列が決定されたものがある。高性能質量分析計(GC/LC/MS)が設置されたが、現在調整段階なので、古典的な方法で構造未知のアミノ酸特異的tRNAを選別して、修飾塩基の探索を開始した。まず3種類のSer-tRNAのすべてについて塩基配列の決定を行った。主要成分tRNAには微量修飾塩基は、アンチコードンに5ーメトキシウリジン(mo^5U)が含まれている他にt^6Aがありm^1AはすべてのセリンtRNAに含まれ、その位置は高等生物にみられるTψCGループではなくDループ中に存在した。その他のアミノ酸のtRNAではまだ、新規化合物は発見に至っていないが、予想された塩基配列中にイノシンおよびm^1G(Arg)、t^6A(Ile)、m^1G(Leu)などが検出確認された。今後2種の遺伝コードを有するアミノ酸のtRNAを集中的に探索する予定である。例えば、Glu、Asp、Leu、Ileの各アミノ酸である。また、質量分析計は従来難しかった核酸塩基を液体クロマトグラフィーで分画したそのまま誘導体化する事なく分析できる機種であるので微量でも分析可能であり、成果が期待できる。 少なくとも、精製した約二十種類のtRNAの、最も微量成分の存在するアンチコードンループ中の微量成分の構造は確定させる予定である。
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