1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63571012
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
井上 昭二 名城大学, 薬学部, 教授 (80076695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
囲 久江 名城大学, 薬学部, 助手 (60076742)
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Keywords | 海洋発光生物 / ホタルイカ / 発光ゴカイ / 発光物質(ルシフェリン) / オキシルフェリン / 生物発光 / ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応(L-L反応) / 発光様式 |
Research Abstract |
富山湾などに棲息するホタルイカ(Watasenia sintillans)および発光ゴカイ(Odontosillis)の発光系に対して化学的検討を加えた。 1.ホタルイカの発光様式について ホタルイカは、死後その発光を再現できないと言われて来た。われわれは、これまでにイカの発光器および肝臓から発光物質(Watasenia Luciferin)とその関連物質(Watasenia oxyLuciferin)を単離し、化学的条件下でその発光を再現させた。今回(昭和63年度)は生物学的条件下でホタルイカの死後の発光の再現とその発光様式の解明を試みた。その結果、新鮮なイカであれば発光器のMgCL_2溶液のホモジネートにATPを加えると死後の発光が再現でき、さらにその発光が終息した液に別に発光器から抽出した発光物質を加えると再び強く発光し、イカの生態時と同一波長(460nm)の発光を観測することができた。つぎに、この発光後の液を処理したところ、化学発光で得たW.axy Luciferinと同一の蛍光物質を単離することができた。この事実からホタルイカの発光はLuciferin-Luciferase反応(L-L反応)によることが立証でき、その発光様式はすでに明らかにした化学発光と同一機構で進んでいることがわかった。なお、この様な生物発光におけるATPおよびMg^<2+>の役割については現在検討中である。 2.発光ゴカイについて この発光生物の採集は、当初10,000匹程度を目標としていたが、10月上旬から下旬にかけて、延べ218人による精力的な採集を行った結果、約34,000匹(1.23Kg、凍結乾燥重量149g)の材料を取得することができた。現在までに、このゴカイの発光はATP、Mg^<2+>を必要としない単純なL-L反応によるものであることを明らかにし、ついで3種の蛍光物質を単離、それぞれの構造と発光とのかゝわりを検討中である。
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