1988 Fiscal Year Annual Research Report
チオール基を有する医薬品と生体内微量元素としてのセレンとの相互作用
Project/Area Number |
63571019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 久 京都大学, 薬学部, 教授 (50025673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋川 明正 京都大学, 薬学部, 助手 (30170913)
中川 照真 京都大学, 薬学部, 助教授 (70025708)
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Keywords | カプトプリル / セレン / セレノトリスルフィド / 混合チオールセレノトリスルフィド / チオール交換反応 |
Research Abstract |
現在血圧降下剤として繁用されているカプトプリルはチオール基を有する薬剤であり、その代謝、体内挙動に関してセレン(IV)または(VI)と反応することが考えられる。一方セレンは生体にとって必須元素であることが確認され、毒性と必須性の両面から注目されている元素であり、チオール基を有する化合物との生体内での反応に興味がもたれる。したがってカプトプリルなどチオール基含有薬剤とセレンとの反応はその薬剤の作用機作の面からも、また必須微量元素であるセレンの体内挙動の面からも検討されるべき課題である。セレン(IV)は一般にチオール基を有する化合物と反応しセレノトリスルフィドを生成することが知られているが、一般にその化合物は不安定であり、十分に研究されていないが、カプトプリルとセレン(IV)との反応を高速液体クロマトグラフィーにより検討したところ、カプトプリルに由来するセレノトリスルフィドを分離することができた。このセレノトリスルフィドはグルタチオン、システィンなどから生成するものは不安定なのに反し、極めて安定であり、単離されたので、FABーマススペクトルによりその構造を確認した。さらに生体内での反応のモデル系として、グルタチオンまたはシスティン共存下で種々の條件で反応を行い、高速液体クロマトグラフィーにより反応生成物を分析した。その結果、異種のチオール化合物からの混合チオールセレノトリスルフィドの生成、異種のセレノトリスルフィド間でのチオール交換反応などが容易におこることがわかった。またカプトプリルとセレン(IV)はモル比4:1で反応し、同時にカプトプリルのジスルフィド体も生成することがわかった。カプトプリルから例外的に非常に不安定なセレノトリスルフィドが生成することがわかったことは興味深い知見で、カプトプリルとセレン(IV)は生体内で強く相互作用することが示唆された。
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