1988 Fiscal Year Annual Research Report
アルキルチオリン酸による遅延型毒性発現の機構に関する研究
Project/Area Number |
63571032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 康男 東北大学, 薬学部, 教授 (00004573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸夫 東北大学, 薬学部, 助手 (60134003)
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Keywords | 有機チオリン酸化合物 / 薬物代謝 / チトロクロムP-450 / 肝毒性 / 肺毒性 / トリメチルチオリン酸エステル |
Research Abstract |
市販の低毒性農薬アラチオン中には、不純物として種々のトリナチルチオリン酸エステルが含まれており、これらのうちO,O,Sトリナチル体(O,O,S-Me)は極めて毒性の高い化合物であることが知られている。この毒性発現には、体内における代謝活性化が必要であることが推定されているので、本研究ではこの究極毒性代謝物を同定し、代謝活性化に関与する酵素系を明らかにし、これらの結果より毒性発現の機構を解明することを目的としている。昭和63年度における研究では、実験動物としてラットを選び、肝ミクロソームよりO,O,S-Meの代謝に関与する酵素を分離精製する基礎研究を行った。その結果、ミクロソームの電子伝達系ん諸酵素、薬物代謝の中に酵素であるチトロクロムP-450が数種類精製できるようになった。またこれら諸酵素の免疫抗体を作製し、代謝反応の特異性を解析する手段を開発しつつある。また種々の薬物代謝酵素系の誘導剤や阻害剤の前投与が、毒性発現にどのような影響を与えるかを調べた。その結果、フェノハルビタールなどの誘導剤は肝毒性を増強するが、致死毒性の原因となる遅延型の肺障害性を軽減することが明らかとなった。また、O,O,S-Meの異性体であるP=S型化合物は、極めて特異的に毒性の発現を抑制することが確認された。Wtの結果は、毒性の発現に代謝活性化が関連することを示すものである。つぎにこの毒性代謝物を明らかにするため、in vitroにおける反応成績体を分析した。しかしその代謝物は極めて不安定であるため、現在までその同定は成功していない。平成元年度においては、活性代謝物の性質を知るため、ラジオアイソトープ標識化合物を合成し、その反応の特徴と動態を解析する予定である。なお毒性化合物の投与は、種々の酵素活性に著しい影響を及ぼすことを示すデータが得られているので、毒性発現との関連性を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)