1989 Fiscal Year Annual Research Report
胃粘膜防御機構の解析と薬物の細胞保護作用に関する薬理学的研究
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63571033
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
矢野 眞吾 千葉大学, 薬学部, 助教授 (90009655)
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Keywords | 胃粘膜防御機構 / 薬効評価 / 抗潰瘍薬 / 細胞保護作用 / 胃酸分泌 / 胃血流 / 胃潰瘍 / 胃粘膜電位差 |
Research Abstract |
胃粘膜抵抗性の計量的評価法に基づく薬効評価を検討するため、新たに尿素・ウレア-ゼ系による胃粘膜抵抗性の低下モデルの開発を試みた。その結果、発生したアンモニアが胃粘膜間電位差(PD)を顕著に減少させること、ウレア-ゼ阻害薬がPD減少を阻止すること、尿素・ウレア-ゼ混合物の粘膜内投与は重篤な胃損傷を形成することが判明した。胃出血測定法に基づく薬効評価では、アズレン化合物の胃粘膜抵抗性に及ぼす効果を検討した。アズレン化合物は種々の潰瘍モデルに対し有効性を示すものの、本モデルの脱血ショック誘起胃出血に対し、統計学的に有意な予防効果を認めなかった。このモデルではオキシゲンラジカルの形成が関与するので、その発生阻害がより効果的に有効性を現すものと考察した。胃粘膜防御因子の1つとして、胃血流が重要なものと考えられており、この因子について麻酔下動物及び摘出灌流胃標本を用いて検討した。エンドテリンは極めて強力な血管収縮活性が知られるが、この薬物の適用は持続性の強力な血流減少を生じた。その作用発現濃度はセロトニン、ノルアドレナリンに比べて約1万倍強かった。一方、アズレン化合物の胃血流に及ぼす効果を検討した結果、有意な血流増加作用を認め、その抗潰瘍活性との関連を考察した。細胞保護作用の薬効評価を検討するため、本年度では、麻酔下動物の胃管腔内に放出される細胞内酵素を測定することによって、単離胃粘膜細胞標本の場合と比較し、薬効評価試験への応用を図った。その結果、エタノ-ル侵襲に伴う酵素放出、それに対する薬物感受性など主要な点において両者の間に併行性が見られた。胃粘膜抵抗性のうちある因子は神経性に調節されていると思われ、そうした研究の緒として胃酸分泌の神経性調節機序の解明を併行して追究した。その結果、興奮性アミノ酸類の酸分泌刺激作用が見い出された。ストレス潰瘍との関連で神経性調節機序をさらに検討する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.HATAKEYAMA: "Platelet activating factor(PAF)-induced gastric damage in rats:Participation of increased gastric vascular permeability." Scand.J.Gastroenterol.24Supp.162. 71-74 (1989)
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[Publications] K.YOGO: "Vasoconstrictor effect of endothelin in isolated perfused stomach of the rat in comparison with noradrenaline and serotonin." Japan.J.Pharmacol.52. 160-163 (1990)
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[Publications] S.YANO: "Centrally mediated inhibitory effect of 5-[2-(diethylamino)ethyl]-amino-5,11-dihydro[1]benzoxepino[3,4-b]pyridine trihydrochloride(KW-5805)on gastric acid secretion in rats." Japan.J.Pharmacol.52. 287-293 (1990)
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[Publications] S.YANO: "Stimulatory effect of some therapeutic drugs used for improving cerebral insufficiency on gastric acid secretion in rats." Pharmacology. (1990)
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[Publications] S.YANO: "Increasing effects of KT-1-32,a novel antiulcer agent,on gastric mucosal blood flow in anesthetized rats."
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[Publications] 矢野眞吾: "“病態・異常動物を用いる研究法"医薬品の開発第2巻-薬理活性物質II-" 広川書店, 23 (1989)