1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖、アミノ酸およびイオン能動輸送蛋白質の構造と輸送機構
Project/Area Number |
63571041
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土屋 友房 岡山大学, 薬学部, 教授 (80012673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 正明 岡山大学, 薬学部, 助教授 (80132736)
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Keywords | 能動輸送 / カチオン共役 / 機能ドメイン / 遺伝子解析 / ナトリウム |
Research Abstract |
糖、アミノ酸およびイオンの輸送は、栄養の吸収、細胞内恒常性の維持、エネルギーの転換等の重要な役目を持っている。本研究では特にNa^+と共役する糖とアミノ酸の能動輸送系、および(Na^+)/(H^+)アンチポーターについて解析し、以下のような成果を得た。 Na^+共役する栄養の輸送系については、主として大腸菌のメリビオース輸送系のカチオン共役変異株の解析を進めた。この輸送系はメリビオースを基質とするとNa^+またはH^+を共役カチオンとして利用するが、我々はH^+との共役能を失い、Na^+をとのみ共役できる変異株を多数分離し、それらの変異遺伝子(melB)をクローニングし、塩基配列の決定から置換アミノ酸残基を明らかにした。こうして、メリビオース輸送担体のカチオン認識に関与するドメインを明らかにした。また、melBとphoAの融合により、メリビオーズ輸送担体とアルカリ性フォスファターゼの融合タンパク質を作り、メリビオーズ輸送担体の膜内配向性と機能ドメインを明らかにした。Na^+-セリン共輸送系およびセリン利用系についても解析を行い、それらの生化学的性状を明らかにした。そして、これまで知られていたこの輸送系の他に、Na^+と共役するセリンに特異的な輸送系があることを明らかにした。そしてこの新たに見いだされた系の生化学的性状も明らかにした。これらの輸送系タンパク質の遺伝子のクローニングするため、種々の変異株を分離し、それらの性質も解析した。そして、これら変異株と遺伝子組変え技術によって、目的とする遺伝子のクローニングを進めている。 一方、腸炎ビブリオにおいていくつかの新たなNa^+-基質共輸送系を見いだし、それらの系の解析も進めている。特に、他の生物には見いだされていないヌクレオチドの輸送系を見いだしたが、この系は誠に興味深い。
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[Publications] 川上琢麿: Journal of Biological Chemistry. 263. 14276-14280 (1988)
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[Publications] 伊丹浩子: Journal of Biochemistsry. (1989)
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[Publications] 堺由紀: Biochimica et Biophysica Acta. (1989)
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[Publications] 堺由紀: Journal of Biochemistsry. (1989)
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[Publications] 浦谷善彦: Journal of Membrane Biology. (1989)