1988 Fiscal Year Annual Research Report
血管のstretch activationを用いた多細胞系の刺激と応答機構の研究
Project/Area Number |
63571051
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
中山 貢一 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (50112769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 芳夫 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (60188349)
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Keywords | 血管の刺激と応答 / 伸展刺激 / 筋原性収縮 / stretch activation / カルシウムシグナル / fura2-AM |
Research Abstract |
本年度は、イヌ、ウサギおよびブタの摘出脳動脈や冠動脈標本を用い、以下の実験を行った。1蛍光分光測定法により細胞内カルシウム(Ca^<2+>)シグナルと伸展(stretch)やひずみなどの機械的刺激受容機構や薬物受容体を介する化学受容に伴なう収縮反応の同時測定法を確立し、以下の結果を得た。1)伸展刺激(stretch activation)による筋原性収縮の発生に先行してCa^<2+>シグナルの増大が観察される。収縮とCa^<2+>シグナルの時間経過の観察から張力発生の初期相と維持相で収縮系のCa^<2+>感受性が異なる可能性が示唆された。2)種々のCa^<2+>動態修飾薬の薬理作用をCa^<2+>シグナルと筋原性収縮の面から調べた。Ca^<2+>流入阻止薬(ニモジピン、ニカルジピンなど)は基礎張力(basal tone)および基礎Ca^<2+>シグナルに作用せず、収縮発生とCa^<2+>シグナルを用量依存的に平行して抑制した。一方、細胞内Ca拮抗薬、例えばカルモジュリンやミオシン軽鎖キナーゼ阻害薬はCa^<2+>シグナルに比較して収縮発生の抑制が大きかった。非特異的平滑筋弛緩薬であるパパベリンは種々の刺激による収縮発生やCa^<2+>シグナルのみならず、基礎張力と基礎Ca^<2+>シグナルを同時に強く抑制した。この結果から血管拡張薬の薬理学的分類が可能となった。 2血管内皮より酸化ヘモグロビンの刺激により遊離する収縮誘起物質の作用を血管内皮由来のペプチドであるエンドテリンと比較検討した。 1)エンドテリンは10^<-11>M〜10^<-10>Mの濃度において種々の刺激による収縮とCa^<2+>シグナルを増強する。2)エンドテリンの作用はCa拮抗薬(ニモジピンやニカルジピンなど)で抑制される。3)多量のアラキドン酸代謝阻害薬(例、アスピリンやトロンボキサンA_2阻害薬)で酸化へモグロビンによる内皮依存性収縮は一部抑制を受けたが、エンドテリンの作用は抑制されなかった。この結果酸化ヘモグロビンによる内皮依存性収縮物質はエンドテリンとは異なる薬理作用を示した。以上の結果を国際学会と論文に発表する。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nakayama,K.: Blood vessels. 25. 285-298 (1988)
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[Publications] Nakayama,K.;Kashiwabara,T.;Yamada,S.;Y.Tanaka: Arzneim.-Forsch./Drug Res.39(I). 50-55 (1989)
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[Publications] Nakayama,K.;Y.Tanaka: "Calcium transients and stretch-induced myogenic tone in vascular tissue.In:Resistance Arteries." Perinatology Press,Ithaca, 212-218 (1988)
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[Publications] Nakayama,K.;Y.Tanaka: "Myogenic contraction and relaxation of arterial smooth muscle." Springer Verlag,Tokyo, (1989)