1988 Fiscal Year Annual Research Report
培養内皮細胞を用いたアンジオテンシン透過機構の解析
Project/Area Number |
63571060
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高野 達哉 帝京大学, 薬学部, 教授 (40124995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳生 靖子 帝京大学, 薬学部, 助手
峰尾 千恵子 帝京大学, 薬学部, 助手 (00190710)
佐藤 隆一郎 帝京大学, 薬学部, 助手 (50187259)
今中 常雄 帝京大学, 薬学部, 講師 (50119559)
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Keywords | Angiotensin / Transcytosis / Endothelial Cell / Lysosome |
Research Abstract |
従来、アンジオテンシンが内皮細胞を介して平滑筋が収縮する機構として、内皮細胞から放出される収縮因子により説明されてきた。しかし、平滑筋細胞は内皮細胞のない状態でも、アンジオテンシンにより収縮することは知られている。このことは、アンジオテンシンがアセチルコリンの作用機序とは異なり、LDLのように内皮細胞をvesicular transportにより透過し、直接平滑筋に作用している可能性が考えられる。 本研究の目的を達するために、人工血管に用いるダクロン布上にコラーゲンゲルをコートし、その上に内皮細胞を一層に培養し、アンジオテンシンの透過機構を解析した。その結果、アンジオテンシンIは、内皮細胞表面のアンジオテンシン変換酵素により、アンジオテンシンIIに変換され、内皮細胞の胞体内を分解されることなく通過する可能性を示唆する知見を得た。また、アンジオテンシンIIの透過は、内皮層から基底膜への方向性が認められ、しかも、温度に依存的であることが見出された。このような研究は、アンジオテンシンの内皮細胞内輸送機構が、LDLの透過にみるような受容体を介したvesicular transportによるものか、また、このtransportはchannelを介したtranscytosisか、それともendocytosis-exocytosisを介したtransportであるのか、大変興味あるところである。さらに、細胞内に取り込まれた物質がリソゾームと融合して分解を受ける経路と、リソゾームと融合することなく基底膜側に移行していく経路との分別機構を考える上でも興味深い。
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[Publications] Hiro-omi Mowri.: Biochemica et Biophysica Acta. 963. 208-214 (1988)
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[Publications] Cheiko Mineo.: Cell Structure and Function. 13. 435-443 (1988)
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[Publications] Tatsuya Takano.: Role of Blood Flow in Atherogenesis. 231-236 (1988)
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[Publications] 峰尾千恵子: 動脈硬化. 16. 615-617 (1988)
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[Publications] 柳生靖子: 動脈硬化. 16. 357-360 (1988)
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[Publications] 橋田亮一: 動脈硬化. 16. 1-3 (1988)
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[Publications] 峰尾千恵子: "代謝「血管内皮細胞」" 13-20 (1988)
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[Publications] 峰尾千恵子: "実験医学" 29-34 (1988)