1989 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロ-ル含量を高めた血小板の活性化機能亢進機構の解析
Project/Area Number |
63571066
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
佐藤 隆司 京都薬科大学, 薬学部, 助教授 (40065917)
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Keywords | 血小板凝集 / コレステロ-ル含量増大 / ホスホリパ-ゼA_2 / Ca^<2+>流入 / トロンボキサンA_2受容体 / 細胞骨格タンパク質 / ヒト血小板 |
Research Abstract |
ヒト正常血小板からレシチン-コレステロ-ル懸濁液との孵置により高コレステロ-ル血小板を調製し、前年度の成果を基にして、さらにその活性化能を亢進させる因子を詳細に検索した。以下に得られた結果を示す。 1.前年度の成績で、刺激下での細胞内Ca^<2+>量増大の亢進を示したが、この原因の一つとしての細胞内Ca^<2+>流入を^<45>Ca^<2+>を用いて検索したところ、トロンビン、U46619刺激下の流入が明らかに増大していた。 2.高コレステロ-ル血小板ではトロンビン受容体数が増大していることが知られているので、前年度に示した受容体からの刺激によるホスホリパ-ゼA_2およびCの活性上昇は真の活性変化を示していない可能性がある。そこで[^3H]標識血小板より調製した膜画分に、受容体非依存正刺激としてGTPγSを添加する方法で検索した。その結果、アラキドン酸遊離は有意に増大したが、ジアシルグリセロ-ル生成は正常と差はなかった。このことから、ホスホリパ-ゼA_2活性は上昇しているが、C活性には変化がないことが判明した。 3.血小板凝集に不可欠な偽足形成や、放出反応に関与する細胞骨格タンパク質の再配列は、膜との相互作用により生じる。そこで受容体非依存的にホルボ-ルエステルとA23187で刺激し、ミオシン、アクチンの再配列による組み込みをTriton X-100不溶沈渣中への量的変化を指標に検索したところ、明らかに増大していた。これらの結果から、膜コレステロ-ル含量の増大に伴う膜物性の変化が、Ca^<2+>流入機構を含む細胞内動員、膜結合性酵素のホスホリパ-ゼA_2活性、および細胞骨格蛋白質再配列に影響をおよぼすことが判明した。さらに前年度で得た結果を合わせ、本研究では、高コレステロ-ル血小板の機能亢進が、受容体から放出にいたる活性化に必須の種々の膜機能の亢進によって生じることを明らかにすることができた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Sato,T.Fujii,T.Hashizume,T.Fujii: "Increase in membrane cholesterol content enhances phospholipase A_2 activity and endoperoxide receptor response in human platelets." Platelets,.