1988 Fiscal Year Annual Research Report
母乳中に含まれる感染症特異抗体の検出およびその持続に関する研究
Project/Area Number |
63571074
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉下 知子 東京大学, 医学部, 助手 (60010063)
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Keywords | sIgA型麻疹抗体 / 母乳中のsIgA量 / 母乳中の抗体 / 分泌型抗体 |
Research Abstract |
分娩前後の母体血,臍帯血および母乳を各20検体ずつ採取し,本年度はernz・ne linket immunosotbent assag(ELISA)による母乳中のsIgA量及びsIgA型麻疹抗体の測定条件の検討を行った。 母乳は採取後プラスチック容器に入れ,直ちに-20℃に凍結,一週間以内に-70℃に移動し保存した。測定にあたっては母乳全量を一度融解し,小分け分注し,その1つを10,000rpmで1時間+4℃にて遠心(日立高速冷却遠心機)後,中間層の乳清部を注射針で採取,直ちに測定に供した。他の小分け母乳は,-70℃に保存し,使用直前に乳清とした。 1.母乳中のsIgA量の定量条件の基礎検討 測定法はサンドイッチELISAによる。手順は次の様である。(1)抗ヒトIgA抗体をマイクロプレートwellに吸着,(2)乳清添加後室温1時間反応,(3)洗浄後ペルオキシダーゼ標識抗ヒトSC添加,室温1時間反応,(4)洗浄後基質OPD液を加え30分反応,(5)4NH_2SO_4を加え反応を停止後492nmで吸光度測定。検討の結果,(1)の抗ヒトのIgA濃度は市販品の1:1000,(2)の乳清希釈は1:4000から4fold希釈で1:256,000まで,(3)のconjugateは1:300が至適であった。同時再現性はCV=7.7〜10.7で外れ値も存在するため二重測定が必要,日差再現性CV=3.5〜4.2添加回収試験は平均101〜105%など良好であった。本法によるsIgA量の測定値は1〜20mg/mlであった。 2.母乳中のsIgA型麻疹抗体測定条件の基礎検討 1.のELISAに準ずる。検討の結果(1)高度精製麻疹抗体1:1000,(2)乳清1:5,10,20,40希釈の添加後37℃1時間反応,(3)同上1:300希釈,(4)(5)同上,の手順でsIgA型麻疹抗体を感度よく検出することに成功した。抗体陽性のOD値は0.2〜0.6に分布,陰性のそれは0.1以下であった。
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