Research Abstract |
昨年度は、母乳中の分泌型IgA(sIgA),totalIgA量およびsIgA型,IgA型麻疹抗体の測定系としてenzyme linked immunosorbent assay(ELISA)の測定条件を検討した。今年度は、褥婦20例から母乳を得,母乳中のsIgA,totalIgA,各型別麻疹抗体の定量測定を行った。 1.母乳中のsIgA量,totalIgA量の定量測定: sIgA量およびIgA量の標準希釈系列は,前者はヒト発乳よりクロマト精製した標準 ヒトsIgA(MBL社製)の5液:17.8μg/mlを5,20,80,320,1,280倍希釈,後者はヘキスト社製ノルパルチゲン用標準血清1液1.68mg/mlを1,000から256,000倍まで4倍段階希釈し用いた。母乳試料は乳清をsIgA,totalIgAとも4,16,64,256×10^3希釈で測定した。抗SC conjugateは300倍,抗α congugateは1,000倍希釈とした。標準試料と検体試料の希釈とODの与える回帰直線を用い平行線定量法で各濃度を算出した。初乳中sIgA量は,分娩後の日数とともに減少し,平均値±標準偏差の値は分娩後2日(2例)27.3±19.9,3日(8例)9.6±7.1,4日(7例)7.3±4.9,5日(3例)2.0±1.2mg/mlであった。totalIgA量は順に14.0±10.7,4.9±3.1,3.1±1.4,1.1±0.17mg/mlであった。 2.母乳中のsIgA型,IgA型麻疹抗体の定量測定: sIgA型,IgA型麻疹抗体を標準乳清としては抗体陽性と判定されたプ-ル乳清の5,10,20,40,80倍希釈,検体乳清は5,10,20,40倍希釈で測定した。 麻疹ウイルスAgは田辺株由来のTD97株を超遠心精製し1,000倍希釈で用いた。 平行線定量法により麻疹抗体をプ-ル乳清を1とした相対力価で求めると、sIgA型で0.32から1.35,IgA型で0.15から1.16に分布した。相対力価0.5以上を陽性とすると,陽性例は前者16例,後者18例であった。
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