1989 Fiscal Year Annual Research Report
新しいSLE関連ヒト血清蛋白質(博多抗原)の精製およびモノクロ-ナル抗体の作成
Project/Area Number |
63571079
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
八戸 義明 九州大学, 医学部, 助手 (80038736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 頌一 九州大学, 医学部, 講師 (90091305)
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Keywords | 博多抗原 / ヒト血清蛋白 / β2糖蛋白 / SLE |
Research Abstract |
我々はSLE関連蛋白“博多抗原"を精製純化し、その性質を明らかにすること、及び本物質に対するモノクロ-ナル抗体を作成することを目的として研究を進めた結果、本抗原の精製を完了し、その諸性質を明らかにした。また、本精製抗原を用いてマウスを免疫し、モノクロ-ナル抗体を得た。さらに、モノクロ-ナル抗体を用いた酵素素免疫測定法を検討し、ポリスチレンビ-ズを用いるサンドイッチ型の測定系で良好な結果を得ている。本報告書では博多抗原の精製法とその物理化学的性状に関する成果を中心にまとめた。 本検査部の使用済血清200Lから、等電点沈澱法、吸着クロマトグラフィ-法、硫安分画法、ゲルろ過法、粉体電気泳動法、及びレクチンアフィニティ-クロマトグラフィ-法により約8ミリグラムの博多抗原を得た。本抗原は分子量65万の新しいβ2糖蛋白で、分子量3万5千のサブユニットの重合体である。沈降速度定数Sは12.0、280nmに於ける吸光係数は11.7、等電点は6.7ー7.0であった。アミノ酸分析の結果、グリシン含量が多くヒドロキシルプロリンを含むことから分子内にコラ-ゲン様構造を有するものと考えられる。一方、糖部分については、オルシノ-ル硫酸法で8%の糖が検出され、その糖鎖構造はレクチンに対する親和性等からシアル酸を含まず、フコ-スを含む高マンノ-ス型のアスパラギン結合型複合糖鎖が1〜2本結合しているものと考えられた。健常者(年齢20ー58才、例数69)に於ける本抗原の血中濃度は7ー23mg/Lであった。次に、本精製抗原で、Balb/cマウスを免疫して、モノクロ-ナル抗体(IgG_1 κ、IgG_<2a> κ、IgG_<2b> κ)を得た。今後は、このモノクロ-ナル抗体を用いたアフィニティ-クロマトグラフィ-による高能率の精製法を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)