1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞におけるピルビン酸キナーゼアイソザイムの発現機構の解明
Project/Area Number |
63571087
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 輸血部, 助教授 (70107762)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 史朗 (財)冲中記念成人病研究所, 所長 (40034954)
|
Keywords | ピルビン酸キナーゼ / アイソザイム / 遺伝子発現。 |
Research Abstract |
ピルビン酸キナーゼ(PK)は主に肝に存在するL型、赤血球に存在するR型、筋に存在するM_1型とその他諸組織に分布するM_2型の4種のアイソザイムが存在し、これらアイソザイムの発現が組織により異なることを既に酸素レベルで明らかにしてきた。今年度はL型およびM_2型PKcDNAよりL型およびM型PKに特異的なプローブを作製し、ヒト諸組織におけるPKmRNAの発現をノーザン分析で検討した。昨年度クローン化を行ったヒトL型PKcDNA(hl-PK-l)の3'-非翻訳領域の689塩基およびヒトM_2型PKcDNA(pHM_2PK-D)の3'非翻訳領域の463塩基をそれぞれL-プローブおよびM-プローブとした。ヒトゲノムDNAのサザン分析の結果、これらプローブはL型又はM型PKのゲノムと特異的にハイブリダイズすることを確認した。ノーザン分析の結果、肝および腎ではともにL-プローブおよびM-プローブにより検出されるRNAが存在していた。白血球ではM-プローブにより検出されるRNAが主であるが、L-プローブでもスメアー状に検出されるRNAが認められた。小腸、骨格筋、脳、精巣および肺ではM-プローブにより検出されるRNAのみで、L-プローブにより検出されるRNAは存在しなかった。以上の結果より、肝、腎ではL型およびM型PKmRNAが、小腸、骨格筋、脳、精巣、肺ではM型PKmRNAのみが発現しており、酵素学的なアイソザイム分析結果とよく一致する所見が得られた。現在迄にヒト白血球においてL型PKの発現を確認した報告はないが、今回の結果からは白血球においてもL型PKが微量ではあるが、発現している可能性が考えられた。今年度作製したL型およびM型PKに特異的なプローブはPK異常による遺伝性溶血性貧血の病態解明、アイソザイム変換による糖代謝の調節機構ならびに癌化に伴うアイソザイムの変換機構の解明に役立つと考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Tani.K;Fujii.H;Hagata S;Miwa.S: Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 85. 1972-1975 (1988)
-
[Publications] Satoh.H,;Tani.K,;Yoshida.MC,;Sasaki・M,Miwa,S;Fujii,H: Cytogenetics and Cell Genetics. 47. 132-133 (1988)
-
[Publications] Tani.K,;Tsutsumi.H,;Takahashi.K,;Ogura.H;Kanno.H,;Hayasaka.K,;Narisawa.T;Akabane T;Morisaki T,;Fujii H;Miwa.S: American Journal of Hematology. 28. 186-190 (1988)
-
[Publications] Kanno.H,;Tani.K,;Fujii.H,;Iguchi-Ariga,;SMM,;Ariga.H,;Kozaki.T,;Miwa S: Japanese Journal Experimental Medicine. 58. 1-8 (1988)
-
[Publications] Tsutsumi.H,;Tani.K,;Fujii.H,;Miwa.S: Genomics. 2. 86-89 (1988)
-
[Publications] Tani.K,;Yoshida.MC,;Satoh.H,;Mitamura.K,;Noguchi.T,;Tanaka.T,;Fujii.H,;Miwa.S: Gene.