1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63571090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
力久 忠昭 千葉大学, 医学部, 助教授 (70012622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金久保 好男 千葉大学, 医学部, 教授 (30004873)
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Keywords | 少数データ / シングルポイント法 / ベイジアン法 / 血中薬物濃度 / 定常状態濃度 / リチウム / アミトリプチリン / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
個々の患者で治療開始時に合理的に薬物の投与方法を決定するにはファーマコキネティックスの手法が有用であるが、従来の手法でパラメータを正確に求めるためには血中薬物濃度の経時的測定値の数を多く求める必要がある。しかし、臨床では頻回の採血は通例きわめて困難である。我々はデータ数が少なくても十分な精度で血中濃度が予測可能な方法を種々検索している。シングルポイント法はtest dose投与後一定時間の血中薬物濃度と定常状態濃度とが患者が異なっても1本の直線で表わせることがあるという経験結果に基づいている。我々はシングルポイント法に注目し、すでにリチウムでこの直線関係の理論的考察を行い、日本人においても成立することを示している。 当該年度ではさらに症例を追加して、シングルポイント法を用いれば治療開始後1週間目の定常状態値を20%以内の誤差で予測できることを確認した。この結果は複雑な計算を要するベイジアン法の結果に匹敵するものであった。また、3名の患者で1〜3ケ月に亘って検討したところ、治療開始初期では予測性がきわめて良かったが、日数を経るにつれ実測値が予測値より高くなり、リチウムクリアランスの低下を認めた。腎機能の低下は認められず、病状との関連が示唆された。この結果は第1回国際TDM会議(昭和63年10月・大阪)において発表をした。 また、他の薬物においてもシングルポイント法の有用性を検討すべく、アミトリプチリンを対象に定め、まず高速液体クロマトグラフィーによる定量法を検討した。併用薬による妨害はUVと蛍光の2つの検出器を同時に用いることにより排除でき、アミトリプチリンの定量が可能となった。この結果は第32回日本薬学会関東支部大会(昭和63年11月・東京)において発表した。現在、この定量法を用いてアミトリプチリンのシングルポイント法につき検討中である。
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