1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63571098
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西尾 廣昭 広島大学, 医学部, 助教授 (30034036)
|
Keywords | 血小板 / 凍結乾燥法 / 臨界点乾燥法 / 立体微細構造 / 超電圧電子顕微鏡 |
Research Abstract |
超高圧電子顕微鏡による血小板立体微細構造の観察には、主に臨界点乾燥法による試料作成法を用いて行ってきたが、その実験結果には再現性に若干の問題があった。本研究計画においては、試料の変性が少なく、再現性に優れていると言われている凍結乾燥法を適用するため、組織凍結乾燥装置(英国EMスコープ、FD500)を購入し、それを用いての試料作成法の検討を行った。本装置は主に固形組織用に開発されたものであり、血小板のような懸濁液状態の微細遊離細胞を試料とする場合には、なんらかの特別な付属装置を開発する必要があったが、以下のような実験法を確立することにより解決した。まず、血小板浮遊液をグルタルアルデヒド固定あるいはグルタルアルデヒド-オスミウム酸二重固定した。その試料懸濁液を、シートメッシュホルダーに保持したポリ-L-リジン処理したシートメッシュにマウントし血小板を付着させた。このシートメッシュを洗浄後、酢酸ウラニルにより電子染色をほどこした。試料の液体窒素による急速凍結には、アルミホイルを用いてホルダーを作成し、50%DMSOで置換した試料を凍結させた。凍結試料はホルダーとともに、そのまま素早く組織凍結乾燥装置に入れて乾燥を行った。乾燥後、試料の補強のためにカーボン蒸着を行い、超高圧電子顕微鏡による観察を行った。その結果、本試料作成法は、臨界点乾燥法のように有機溶媒、液化炭酸ガスによる置換操作がないため、コンタミによる汚染が少なく再現性のある試料作成が可能となった。また、固定操作時に各種蛋白変性剤、界面活性剤、トレーサーを共存させることにより、各種細胞内外の微細構造の観察が可能となった。なお、超高圧電子顕微鏡(H-1250 M)による観察は、岡崎国立共同研究機構生理学研究所の共同利用実験によって行った。
|