1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63571098
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
西尾 廣昭 広島大学, 医学部, 助教授 (30034036)
|
Keywords | 血小板 / 立体微細構造 / 超高圧電子顕微鏡 / 凍結乾燥法 / 臨界点乾燥法 |
Research Abstract |
超高圧電子顕微鏡による血小板立体微細構造の観察には、臨界点乾燥法による試料作成法に加えて、凍結乾燥法を確立し、従来の超薄切片法によって認められる微細構造との比較検討を行った。その結果、セロトニン貯蔵部位であるとされる濃染顆粒がより明瞭に観察され、周辺部微小管系も同定可能であった。α-顆粒やミトコンドリアも認められたが、標準固定染色法ではその特徴的構造は不明瞭であった。一方、グリコ-ゲン顆粒は同定不可能であった。さらに、細胞内小管系、開放小管系はステレオペア-像による三次元的観察により、それらの立体的関係が解析可能であった。本試料乾燥法は、有機溶媒、液化炭酸ガスによる置換操作がないため、コンタミによる汚染が少なく再現性のある試料作成である事が確認された。さらに、各種薬理学的修飾の影響について検討を行った。まず、Poly-L-lysineおよび低温処理による活性化の影響について検討した。血小板は活性化により細く長い偽足様突超を伸張し、中心部は球形様に変化した。そのため、偽足様突起の立体的観察は可能であったが、中心部は電子密度は高くなりすぎ、微細構造の解析は不可能であり、さらに固定染色法の改変が必要であると思われた。次に、セロトニン添加の影響を検討したが、5秒間の処理では部分的活性化が認められたが、5分間の処理では活性化は認められず、濃染顆粒の増大が認められた。界面活性剤であるTriton X-100の処理によっては、細胞構造の可溶化が認められ、条件によってミクロチュブルスのみがリング状に観察された。しかし、Triton X-100はそれ自体シ-トメッシュの支持膜を破壊するため、この点に関しても今後なんらかの実験方法の改良が必要である。なお、超高圧電子顕微鏡(H-1250 M)による観察は、岡崎国立共同研究機構生理学研究所の共同利用実験によって行った。
|