1988 Fiscal Year Annual Research Report
通信回線を用いた白血病治療過程の数理解析ネットワークの構築とその実用化の研究
Project/Area Number |
63571107
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山口 延男 神戸大学, 医学部, 教授 (00026890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武川 公 姫路独協大学, 一般教育部, 助教授 (60099835)
巽 英二 神戸大学, 医学部, 講師 (20192172)
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Keywords | 急性白血病治療 / 白血病細胞のセルキネティクス / 治療モニタリング / 数理モデル / 病態シミュレーション / 生体システム論 / 計量診断学 |
Research Abstract |
これまでの研究で我々は、急性白血病症例の治療過程における血球動態(白血病細胞および正常顆粒球)を細胞回転概念を基礎にした数理モデルを用いて予測する研究を行い、相当数の症例に適用し治療計画の選択や白血病状態の解析に有用であることを明らかにしてきた。 今回の研究は上記の数理モデルを移植した白血病治療解析データー・ベースを中枢として、検査部データー・ベースおよび他医療施設のデーター・ベースまたは医療データーを通信回線を用いて連結し対象とする症例の血液検査データーを日々自動的に入力し、経追図を作成するとともに、数理モデルによる血球数変動の予測と評価を通信するようなネットワークを構築することである。これまでに得られた研究成果はつぎのようである。1.中枢としてパソコン(NEC PC 9801)を用い、末梢血細胞数だけで白血病細胞および顆粒球の変動を記述する実用的な近似モデル式を開発し、このプログラムを移植した。近似モデル式に実際の時系列の血球数および薬剤量を代入して症例個有のパラメーターを決定すると、以後この症例の治療経過の実際と予測を同一ディスプレーに表示させ、假想投薬による治療選択を行うことができるようにした。2.検査部データーベースから通信回線を介して白血病解析データー・ベースへ、日々の血球数が自動的に転送しうるシステムを作成することができた。3.他医療施設との通信回線による直接の血球数の入力にはなお障害があり、現在ファクシミリを介するデーター入力と解析通報および治療コンサルテーションを行っている。4.近似モデル式の適用によるパラメーターの解析によって、寛解例は白血病細胞減少率(Y軸)と正常顆粒球減少持続日数(X軸)で規定される一定の平面域内に分布し、非寛解例はそれ以外の平面に分布し、かつそれらの意義は臨床血液学的および生体モデル論上有意義なことが知られた。
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[Publications] Ymaguchi,N.;Takekawa,A.;Ryou,R.;Tatsumi,E.;Mori,H.;Kitamura,S.: Proceeding of XXll Congress of the International Society of Hemafology. 343 (1988)
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[Publications] 武川公、米田規子、足立昌司、吉田昭憲、寮隆吉、巽英二、山口延男: 日本血液学会雑誌. 52(2). 309 (1989)
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[Publications] Takekawa,A.;Kitamura,S.;Mori,H.;Yamaguchi,N.: Fullfext for Vlth World Congress on Medical Informatics(Beijin,China). (1989)