1988 Fiscal Year Annual Research Report
心房性ナトリウム利尿ペプチドの小児疾患における実験的および臨床的研究
Project/Area Number |
63571123
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
早川 国男 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60041274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西口 俊裕 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 助手 (40172647)
沖島 寳洋 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80136811)
先成 英一 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 講師 (60117439)
松岡 裕二 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10094103)
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Keywords | 心房ナトリウム利尿ペプチド(ANP) / 小児心疾患 / 存在様式 / 肺高血圧ラット |
Research Abstract |
今年度は、循環器疾患における心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の血中動態を調べ、病態との関連性を検討した。 まず左右短絡を有する先天性心疾患患児において、心臓カテーテル検査を施行し、血行動態の重症度と血中ANPの関連性を調べた。脈動脈および大腿静脈におけるANP血中濃度には有意差を認めず、いずれも肺動脈拡張期圧および肺体血流比と有意な正の相関を認めた。したがって左右いずれかの心房における容量、圧負荷によるANP分泌は促進され、しかもANPの血中濃度は心疾患の重症度と相関することが判明した。今後は病態評価の一つの指標として有用であると思われる。 また心疾患患者において手術時に右心耳を採取し、右心耳中のANP含量を測定し、その存在様式を分析した。心不全症状のない症例と比較し、右房に容量、圧負荷の著明な疾患においては、心耳中ANP濃度は増加していた。このことより慢性的な心房負荷により、代償的にANPの生合成が亢進していることが示唆された。一方、心耳抽出物の分析では、小児においては心耳中含量にかかわらず大部分がγ-ANP優位であった。これに対し成人症例では、心不全ほどANP含量が増加しているとともに、α-ANPおよびβ-ANPなどの低分子のものが出現していた。これは心不全など病的状態においてはβ-ANPが出現することが示唆されるものの、心耳中の存在様式には年齢的因子も関与するものと思われる。 モノクロタリンを用いて肺高血圧ラットを作製し、その血中および心房、心室中ANP濃度を測定した実験においては、肺高血圧の進行とともに血中ANP濃度は増加し、右心耳中ANP含量は減少した。これに対し右室中ANP含量は増加していた。したがって亜急性の右心負荷状態では、右心房よりのANP分泌が亢進し、心室においてもANPの生合成が行われ、血中ANP濃度高血の一因として関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Akimoto,K./Miyata,A./Kangawa,K./Matuo,H./Koga,Y./Matsuoko,Y./Hayakawa.: Europian Journal of Pediatrics. 147. 485-489 (1988)
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[Publications] Akimoto,K./Miyata,A./Kangawa,K./Matuo,H./Koga,Y./Hayakawa.K.: Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism. 67. 93-97 (1988)
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[Publications] Akimoto,K./Miyata,A./Hayakawa.K./Kangawa,K./Matuo,H.: Life Science. 43. 1125-1132 (1988)
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[Publications] 秋元馨、早川国男、古賀保範、宮田篤郎、寒川賢治、松尾壽之: 呼吸と循環. 37. 307-311 (1989)