1990 Fiscal Year Annual Research Report
心房性ナトリウム利尿ペプチドの小児疾患における実験的および臨床的研究
Project/Area Number |
63571123
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
早川 国男 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (60041274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋元 馨 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 助手 (70212438)
西口 俊裕 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 助手 (40172647)
沖島 寶洋 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (80136811)
松岡 裕二 宮崎医科大学, 医学部附属病院, 講師 (10094103)
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Keywords | ANP / BNP / 肺高血圧 / 心肥大 |
Research Abstract |
我々は既に、肺高血圧モデルラットにおいて血中ANP濃度の上昇、また心室におけるANP生合成の亢進を報告した。一方、brain natriuretic peptide(BNP)はブタ脳から単離された新しいナトリウム利尿ペプチドで、その構造と生理活性はANPと類似しており、ANPと協同し体液量や電解質の調節に関与している可能性が強い。今回はBNPに特異的なradioimmuno assay(RIA)を確立し、右室への圧負荷を生じた肺高血圧ラットにおける心房・心室中のBNP濃度を測定した。また同時に測定したANP濃度と比較検討した。 〈方法〉SD系ラット(雄、4週齢)を使用した。投与群ラットには、Monocrotaline(40mg/kg)を上背部に一回皮下注射した。対照群には生食を0.2ml/100g皮下注射した。投与後1週および2週目に左右心房、右室(RV)、心室中隔+左室(IVS+LV)を採取した。RV/IVS+LV比を求めて右室肥大の指標とした。組織中ANP、BNP濃度はそれぞれラットANP、BNPに特異的なRIAを用いて測定した。〈成績〉4週齢のラットにおいて、左右心房中BNP濃度は344.7+51.3ng/mg、633.7+70.1ng/mg、また左右心室中BNP濃度は7.7+1.0ng/mg、1.5+0.8ng/mgといずれもANP濃度の約1/30であった。右室肥大の進行とともに右心室中BNP濃度は著明に増加し、monocrotaline投与後2週目では52.9+8.3ng/mgと対照群(2.1+0.6ng/mg)の約25倍の値を示した。左心室中BNP濃度は対照群と有意差を認めなかった。また右心房中ANP濃度は右室肥大の進行とともに減少したが、BNPには有意な変化を認めなかった。〈結論〉BNPはANPと同様に心臓からも分泌されるホルモンである。肺高血圧ラットにおいては右室での生合成が著しく亢進しており、右室圧の上昇およびそれに伴った心室肥大と密接に関連していることが示唆された。
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