1988 Fiscal Year Annual Research Report
分散型オペレーティング・システムの性能に関する研究
Project/Area Number |
63580019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
益田 隆司 東京大学, 理学部, 教授 (80114130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田胡 和哉 東京大学, 工学部, 助手 (10188229)
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Keywords | 分散型オペレーティング・システム / プロセス / プロセス間通信 / 負荷分散 / 並列処理 / 軽量なプロセス |
Research Abstract |
これまでに、通信で結合された軽量なプロセスの集合であるプロセス・ネットワークを用いて分散型オペレーティング・システムを設計する方式を提案した。これに基つぎ、2台の個人用計算機を高速の通信回線を用いて結合したAgora-Protoシステム、および、それを発展させ実用的なシステムを実現することを目的としたAgora-Iシステムの研究開発を行ってきた。提案方式では,軽量なプロセスを多数用いることによる並列処理の効果が期待できる。その一方、プロセス間通信の実行によるオーバヘッドが無視できない。本研究課題では,この両者の関係について、Agora-Protoシステムの性能測定をもとに検討を行った。 測定によれば、スループットの改善が図られている。C言語のコンパイル処理を、1台の個人用計算機上で既存のオペレーティング・システムを用いて複数多重に実行するのに比較して、Agora-Proto上の実行では,同数を処理するのに15%〜30%処理時間が短縮されている。オペレーティング・システム内部の並列処理による効果も確認された。システムの機能を実現するプロセスの配置を変えて、システム・コールの処理時間を測定したところ、プロセス間の並列動作により、通信処理のオーバヘッドにもかかわらず、処理時間が小さくなるプロセス配置が存在することが判明した。その一方において、通信処理に要するCPU時間がシステムのCPU時間の50%を越えていることが明らかとなった。そのため、システム・コールの処理時間は,既存のシステムの処理時間より増加している。並列処理の効果を考え合わせ、たとえば、closeシステム・コールでは、通信実行の時間を現在の66%以下にすることができれば、単一計算機上での処理に比較して処理時間を短縮できると推定される。 この結果をふまえ通信で結合されたプロセスの系による並列処理システムの性能についてより系統的な検討を行うことが今後の課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 高野陽介: 情報処理学会論文誌. 29. 359-367 (1988)
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[Publications] 田胡和哉: 電子情報通信学会技術研究報告. 88. 7-12 (1988)
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[Publications] 高野陽介: 情報処理学会論文誌. 30. (1989)