1990 Fiscal Year Annual Research Report
二進木結合並列計算機によるバイオ・シミュレ-ションの研究
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63580028
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高橋 義造 徳島大学, 工学部, 教授 (90116830)
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Keywords | 二進木計算機 / 並列パタ-ン認識 / 並列音声認識 / 並列手書き文字認識 / 並列配線問題 / バイオシミュレ-ション / 競合プロセッサ / 並列処理 |
Research Abstract |
1.平成元年度に試作した二進木計算機による並列音声認識実験回路にディジタル信号プロセッサ(DSP)を接続し,これまでZ80マイクロプロセッサで行っていた相関関数とDPマッチングの計算をさせるようにした.またこれまでの並列パタ-ンマッチング法に含まれる無駄な計算を除く方法についても研究した結果,処理速度を20倍以上向上させることができた.認識精度についてはやや不満足で,これを改良するにはバンク数をかなり増やす必要がある.そのために増える計算時間の問題には今年度の成果で十分対処できる. 2.バイオシミュレ-ションの観点から手書き文字の並列パタ-ン認識方式を検討し,これを二進木結合計算機の上で実行し評価した.実験した並列漢字認識方式では,多数のプロセッサに先ず個別に,漢字を構成する各種の画(ストロ-ク)を種類別に抽出させる.その結果を各プロセッサが相互に知らせ合って,複合ストロ-クである偏や旁を検出し,最終的にこれらの組合せから特定の漢字を認識する.この様な処理を二進木計算機上で実現し認識実験を行った.その結果,5画以上の漢字になるとかなり認識率が落ちるが,それ以下の簡単な漢字であれば90%以上の認識率が得られることを確めた.この方法を推し進めれば,超並列処理による画像認識に応用できるものと考えられる. 3.配線問題は平面上の分布した多数の端子対を相互に,お互いに交差しないように接続する経路を求める問題であるが,完全な配線結果をえるには膨大な計算時間がかかることが知られている.この問題は非常に逐次性の強い構造を持っており,従来は並列処理をすることは困難であるとされていた.そこで配線問題をバイオシミュレ-ションの立場から並列処理する方式を研究し,競合プロセッサによる並列配線方式を開発した.この方式では接続すべき多数のネットをそれぞれ1本づつ個別のプロセッサに割り当て,これらのプロセッサが独立に計算した配線経路を相互に通信して交差しないかどうかを調べ,交差する場合にはお互いに譲歩して別の経路を求めることを繰り返して最終的に全体の配線を行う.この方式を二進木結合並列計算機Coral68Kによって評価し,処理速度が著しく向上することを確かめた.
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[Publications] 高橋 義造,佐々木 茂高: "競合プロセッサ群による配線問題の並列処理" 情報処理学会ア-キテクチヤ研究会報告. 90ーARCー82. 82-7 (1990)
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[Publications] Yoshizo Takahashi and Shigetaka Sasaki: "Parallel Automated WireーRouting with a Number of Competiong Processors" Proc.ACM International Conf.on Supercomputing. 310-317 (1990)