1989 Fiscal Year Annual Research Report
奇形腫を用いた発生工学的手法によるウイルス抵抗性マウスの作出に関する基礎的研究
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63580041
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Research Institution | National Institute of Neuroscience, NCNP |
Principal Investigator |
花岡 和則 国立精神・神経センター, 神経研究所・モデル動物開発部, 室長 (40189577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 文広 国立精神神経センター, 神経研究所・モデル動物開発部, 室長 (30107429)
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Keywords | 奇形腫細胞 / 胚幹細胞 / キメラ / MHV(マウス肝炎ウイルス) / 細胞障害性 / ウイルス抵抗性動物 |
Research Abstract |
近年の発生工学及び遺伝子工学技術の発展に伴い、マウス個体における人為的な遺伝子改変が可能となってきた。我々は、これらの技術を用いて、ウイルス感染に抵抗性の動物を人為的に作出するための基礎的研究を行ってきた。昨年にひき続き、マウス肝炎ウイルス(MHV)抵抗性マウス作成のための基礎的実験及び、遺伝子導入の担体としての胚幹細胞(ES)及び奇形腫(EC)細胞株の開発について研究を行った。 MHVに対する抵抗性を賦与するための方策として、MHV感受性細胞にMHVリセプタ-蛋白(E_2)遺伝子を導入することにより宿主細胞のリセプタ-を被いかくすことが可能であるかについて検討を加えた。そのためにはE_2内に存在するリセプタ-結合領域や細胞障害領域を同定する必要がある。昨年度の実験により、E_2蛋白をマウス細胞で発現させリセプタ-結合部位を同定することは、E_2の細胞障害性のため困難であったので、本年度は、バキュロウイルスベクタ-(BV)を用いて昆虫細胞株においてE_2を大量に発現させることを行った。発現されたE_2は、ウイルス粒子のE_2と同程度に糖付加され、大部分の中和抗体産生エプト-プも存在していたが、細胞吸着活性は認められなかった。昆虫細胞を用いた本実験系では、マウスとは異なる糖が付加されE_2の吸着活性に影響している可能性が否定できず、他のベクタ-系を検討する必要があると思われる。 遺伝子導入の担体としてのES/EC細胞の開発については、これらの細胞がキメラ個体の中でどのように分布しているかを確実に知るための技術開発を行った。クロランフェニコ-ルアセチルトランスフェラ-ゼ(CAT)遺伝子の導入により、細胞を標識化することに成功した。この技術は、今後のキメラマウスを用いた研究に有効であると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Taguchi,F and Fleming,J.O.: "Comparison of six different murine coronavirus JHM variants by monoclonal antibodies against the E_2 glycoprotein." Virology. 169. 233-235 (1989)
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[Publications] Yoden,S.,Kikuchi,T.Siddell,S.G.and Taguchi,F.: "Expression of the peploner glycoprotein of murine coronavirus JHM using a baculovirus vector." Virology. 173. 615-623 (1989)
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[Publications] Hanaoka,K,Hayasaka M,Noguchi,T and Kato Y: "Viable mouse chimeras produced with embryonal carcinoma cells of a germcellーderived teratocarcinoma" Develop Biol.
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[Publications] Hanaoka,K,Hayasaka,M,Uetsuki,T,Fujisawa A and Nabeshima Y: "Use of a transgene as a cellular marker in chimeric mice"
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[Publications] 花岡和則: "キメラ胚における奇形腫細胞の分化" Human Cell. 2. 375-381 (1989)