1988 Fiscal Year Annual Research Report
肥満の予防と治療に対する運動の効果ーエネルギー、蛋白質、コレステロールの代謝ー
Project/Area Number |
63580063
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
奥田 豊子 大阪市立大学, 生活科学部, 講師 (90047308)
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Keywords | 自発運動 / ランニング運動 / 体脂肪 / 肝脂肪 / 血漿トリグリセライド / 血漿コレステロール濃度 / 体蛋白質 |
Research Abstract |
豊かな食生活と運動不足とを背景とし、肥満傾向を示す小児が増加しており、小児でも肥満すると成人病の徴候がすでにみられることが報告されている。肥満の治療あるいは予防には食事療法と運動療法が基本となる。63年度は離乳直後から食事性肥満を誘発しやすいとされている高脂肪食を投与し、同時に回転籠付きケージで飼育し、自発運動させることで肥満を予防できるかどうかについて検討した。ウイスター系雄ラットを用い、普通脂肪食である5%脂肪食群、高脂肪食である25%脂肪食群、25%脂肪食を投与し回転籠付ケージで飼育した運動群の3群に分けた。実験1では、8週齢から11週齢まで走行させ、実験2では、4週齢から15週齢まで長期間にわたって走行させ、自発運動による体脂肪蓄積の抑制効果をしらべた。1.25%脂肪食群と運動群の飼料摂取量は、5%脂肪食群にくらべ有意に少なかったが、3群間のエネルギー摂取量には差がなかった。2.体重増加量は3群間には差がなかったが、心臓重量は運動群での2群より有意に高くなり、脂肪組織重量は運動群で有意に他の群より少なかった。3.肝臓中の蛋白質の割合は3群間で差がないが、脂質の割合は運動群で他の2群の3割も減少を示した。4.体組成についても、蛋白質の割合は3群間に差がないが、脂肪の割合は運動群で他の2群の4割も減少を示した。 5.自発運動量には個体差があり、走行距離が長いほど腹壁周囲脂肪重量と体脂肪含量が低い傾向を示した。以上、成長期ラットを回転籠付ケージで自発運動させると、エネルギー摂取量は安静ラットと差がないが、脂肪組織重量、体脂肪の割合が減少し、自発運動による体脂肪蓄積抑制効果を確認した。自発運動によって体蛋白質は保持しながら、体脂肪を効率よく燃焼させ、肥満を予防できることを確認した。次年度は成熟期肥満ラットについて食事制限と自発運動の効果についてしらべる。
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Research Products
(2 results)