1989 Fiscal Year Annual Research Report
日本人の食生活と胃がんの病因、とくにN-ニトロソ化合物との関連性に関する研究
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63580070
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
浜野 美代子 東京家政学院大学, 家政学部, 教授 (90103225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井野 みどり 東京家政学院大学, 家政学部, 助手
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Keywords | 胃がん / 食生活 / 食習慣 / 日本人 / 塩分濃度 / N-ニトロソ化合物 / アミノ酸 / 阻害効果 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に続き、地域の調査より胃がんの危険因子と密接な関係のあると思われる穀物(主食)の摂取量および塩分摂取量(みそ汁、漬物)について調査を行った。主食はご飯を主として食べ、緬、パン類の摂取回数は少ない。漬物は毎食あり、1回に食べる量は平均130gで、食事の時に漬物がないと物足りないという人が多かった。みそ汁は1回1杯の人が多く、塩分はほぼ1%の人が多かった。また、加工食品(ハム、ソ-セ-ジ,かまぼこ等)、佃煮、塩辛などを好む人が多かった。 胃内条件下でのモデル実験では、アミノ酸のN-ニトロソ化合物生成に対する阻害効果について検討した。アスコルビン酸同様、PH2.5〜4.5に調製した緩衝液、人工胃液中におけるジメテルアミンと亜硝酸の反応(37℃、60分)にアミノ酸を添加し、その効果についてみた。アミノ酸はアラニン、バリン、セリン、プロリン、グルタミン酸、アルギニン,ヒスチジン、シスチンの8種について行った。緩衝液中におけるアミノ酸無添加対照のNDMA生成量に対はる各種アミノ酸添加のNDMA生成量をみると、アミノ酸の種類によりかなり異っている。8種の中では、シスチンが最も阻害効果が高く、アスコルビン酸に近似していた。次いで、ヒスチジン、アルギニン,グルタミン酸、セリン,バリン,アラニン、プロリンの順で、NDMA生成阻害はPH3.0〜3.5に強くあらわれることが分った。 次に、NDMA生成速度に対する影響についてみると、今回行った60分の範囲では対照(緩衝液)は、時間とともに直線的に生成量が増加するが、アミノ酸を添加すると、種類によって若干異るが、15〜30分まではほとんどNDMAの生成を阻害せず、その後、次第に生成速度が低下することが分った。なお、アスコルビン酸は添加後、ほぼ完全にNDMA生成を阻害した。次年度では、アミノ酸の相乗による阻害効果と、上記調査結果から塩分濃度を考慮した抑制実験を計画している。
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