1988 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀中葉における中国の暦表にみえるヨーロッパ天文学の影響についての研究
Project/Area Number |
63580081
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
橋本 啓造 関西大学, 社会学部, 教授 (40067666)
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Keywords | アストロノミア・ダニカ / 崇禎暦書 / 西洋新法暦書 / 欽定儀家考成 / 欽定儀考成続編 / 暦学会通 / 恒星表 / ヨハネス・ケプラー / ロンゴモンターヌス / 中国 / 天文学 / 暦表 / ヨーロッパ / バチカン / パリ. |
Research Abstract |
本研究課題についての基礎研究につき、第1年度目の昭和63年度は、主として資料の収集につとめた。まずヨーロッパ側の資料については、すでに本研究者がThe Pxocess of the Chinese Acceptance of European Astronomy(Cambridge Vnaerosoty Dissertation,1985;Kansai University Pres.1988)において明らかにしたように、中国の明代末期の崇禎改暦(1629年に開始)に対してLongomontanus Astronomia Danica(1622)が理論的に重大な根據になっていたという事実から、この原書に含まれる数表と天文表が『崇禎暦書』の暦表に中心的な影響を与えたことは間違いなく、したがって同書を写真複写して整備する必要があった。海外の図書館所蔵の資料(英国ケンブリッジ大学)であるため、この複写。焼付については、研究開始までに別途用意を済ませておいた。次に『崇禎暦書』の暦表の資料については、同書を覆刻した『西洋新法暦書』が日本に存在するため、この資料につき全巻を複写して焼付ける作業を実施せしめた。原本としては京大、人文科学研究所のものを利用した。さらにこのなかの一部、とくに本課題研究の対象としている恒星表の部分については、バチカン図書館本、パリ国立公文書館本のものを複写写真として取りよせることができた。これらの費用については、海外資料であるため、自費によってまかなわなくてはならなかった。本研究の主対象の恒星位置表については、18世紀の『欽定儀家考成』、19世紀の『同続編』か必要であるので、それらについても複写写真を用意した。これらの資料の整理と分析については、平成元年度に完成させる予定である。さらに『崇禎暦書』より少し遅れて完成されたもので、J・ケプラーの天文表の影響のあると考えられる資料を考察するために、東北大学図書館蔵の『暦学会通』についても、本年度の経費のなかから収集し(ゼロックス・コピーによる)、次年度以降の分析的研究のために備えることとした。
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Research Products
(2 results)