1989 Fiscal Year Annual Research Report
青少年の身体トレ-ニングの呼吸循環系機能に及ぼす影響に関する研究
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63580084
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 勝巳 筑波大学, 体育科学系, 教授 (30015911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紅露 恒男 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (60010542)
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Keywords | 高所順応トレ-ニング / 心機能 / 無気的作業閾値 / 心筋収縮性 / 血中乳酸濃度 / 低酸素換気応答 |
Research Abstract |
1.目的:パミ-ル・レ-ニン峰登山を期す高峰登山者を対象とし、4000〜7000m相当高度における高所順応トレ-ニングを実施し、その生理的応答をトレ-ニング前後についての比較から検討し低圧低酸素環境下トレ-ニングの呼吸循環系に及ぼす影響の特異性を明らかにすることを目的とした。 2.方法:健常な青年男子15人についてモナ-ク製自動車作業計(60rpm)による約30分間のペダリング(約80〜85%HRmax)運動を、週1回で10週間にわたり低圧環境制御装置(60m^3)内で4000〜7000m相当高度下の反復急性暴露を継続した。なお環境条件は20℃、60%に維持した。 3.結果:(1)仰臥位安静時の心機能:常圧下と4000mでの比較では、トレ-ニング後に4000mにおける心拍数の減少、一回拍出量の増大および心筋収縮性の改善(PEP/LVET比の低減)が認められた。 (2)4000mにおける最大下および最大運動時の心機能応答と血中乳酸応答:同一運動強度に対する心拍数の減少および一回拍出量および拍出量の増大傾向が認められ、最大運動時の一回拍出量の増大がみられた。また最大下および最大運動時の心筋収縮性の改善(PEP/LVET比の低減)が認められた。また最大下運動時の血中乳酸濃度はトレ-ニング後に有意な減少を示し、無気的作業閾値の明らかな改善が認められた。 (3)4000mにおける最大有気的作業能:トレ-ニング後のペダリングによる最大運動時間および総仕事量は、常圧に比べ4000mにおいて有意な増加を示した。 (4)常圧下の低酸素換気応答(HVR):増加傾向が認められた。 4.考察:本トレ-ニングにより4000mにおける安静時および運動時の心機能の高進が認められたが、低酸素と運動刺激の相乗作用が前負荷および静脈還流を改善したことに起因するものと考えられる。またOBLA-Workloadの、無気的作業閾値の有意な改善は、本トレ-ニングが細胞内ミトコンドリアを増殖しTCA回路と脂質代謝を高進させ、解糖系代謝を抑制したことに起因すると思われる。
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[Publications] 浅野勝巳、島居鎮夫、大谷孝吉: "低圧低酸素環境(1500m相当高度)下トレ-ニングの有気的作業能に及ぼす影響" 東邦医学会雑誌. 36. 518-527 (1990)
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[Publications] 浅野勝巳: "高地トレ-ニング、「スポ-ツ医学(黒田、中嶋編)」所収" 金原出版, 103-110 (1989)