1988 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化予防について、運動の効果の解明およびその運動処方作成に関する実験的研究
Project/Area Number |
63580105
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
広田 公一 日本体育大学, 体育学部, 教授 (80012194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂元 晃史 昭和大学, 薬学部, 助教授 (10053935)
井川 正治 日本体育大学, 体育学部, 助教授 (60112976)
圓 吉夫 日本体育大学, 体育学部, 教授 (20060783)
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Keywords | 高脂食 / 代謝回転 / 運動効果 |
Research Abstract |
本研究は、高脂血症によって誘発される動脈硬化の予防について、運動の効果とその運動処方を明らかにするものであった。実験には、あらかじめ高脂肪含有飼料を投与し、高脂血症を誘発させた生後六週齢、体重約280gのwistar系雄ラットを用いた。動物は無作為に運動3群(運動頻度週1回群、3回群、5回群)と対照群に分けた。運動群には小動物用トレッドミルを用い、15m/minの強制運動を1回につき30分間負荷した(運動強度はVO_<2max>の60%相当)。実験期間中も動物には高脂肪含有の固形飼料を与え、水道水は自由摂取にさせた。10週間の実験期間終了後、血清コレステロールの定量および血清コレステロールへのラベル前駆体の取り組みの測定を行った。 実験により、以下の結果が得られた。1.期間中の体重、摂餌量および血清コレステロール値、血清コレステロールへのラベル前駆体の取り込みにおいて、運動3群と対照群の間に有為な差は見られなかった。2.血清コレステロール値は全ての群において広田らの先行研究より高値であった。また血清コレステロールへのラベル前駆体の取り組み(比活性)は全ての群において広田らの先行研究よりも著しく低値であった。 以上の結果から、高脂血症を引き起こした実験動物では、運動によってその状態が改善されなかったことが推察された。また広田らの先行研究で報告されている運動によるコレステロールの代謝回転の促進に関して、本実験のような高脂肪食摂取条件下ではその合成については著しく抑制され、運動によって改善することはないものと考えられた。したがって、高脂血症状が余りに強い場合には、運動は動脈硬化の進展に対して予防的に作用するどころか、かえってマイナスに働くことが推察された。尚、代謝回転について、肝臓、小腸、動脈サンプルより継続して分析中である。
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