1988 Fiscal Year Annual Research Report
プレニルトランスフェラーゼの構造と酵素活性発現機構
Project/Area Number |
63580111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 種俊 東北大学, 非水溶液化学研究所, 助手 (20089808)
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Keywords | プレニルトランスフェラーゼ / イソプレノイドの生合成 / ポリプレノール / ファルネシルニリン酸シンテターゼ / イソプレン鎖延長反応 / 基質同族体 / ウンデカプレニルニリン酸 / 酵素反応機構 |
Research Abstract |
1.ウンデカプレニルニリン酸合成酵素:a)従来の酵素と異なり、界面活性剤の添加が不要な酵素画分をM.luteus変異株に見い出したが、菌体脂質がこの酵素の活性化効果を示していたことがわかった。b)ホモアリル性基質類縁体、3-メチル-3-ペンテニルニリン酸の【Z!_】体は全く基質とならないが、【E!_】体はよい基質であることを見い出した。生成物の解析から、鎖延長反応が1回のみで終結していることが示された。さらに、アリル性基質の4位にメチル基を導入すると、基質としての反応性が失われてしまうことも明らかとなり、シス型鎖延長反応と触媒するこの酵素の活性部位における基質の結合状態と縮合停止に関する機構を説明できた。 2.ヘキサプレニルニリン酸合成酵素:この酵素は通常2つのタンパク成分(AとB)に解離しており、各々が混合して酵素活性が発現されることは既に報告済みだが、活性発現に必須なアミノ酸残基としてCysとArgがいずれも成分B上に存在していることを証明した。さらに基質とMg^<2+>の存在下で両成分は50kDaの安定な酵素活性を発現する会合体をとっていることが示され、この会合体の形成と分解によって、水に不溶性のポリプレニル体を高率よく生成できる酵素反応機構が示唆される。 3.植物のポリプレノール生合成:ポリプレニルニリン酸合成酵素の立体化学が動物や微生物の酵素とは反対であると示されていた植物の酵素として桑の葉よりの酵素の抽出に成功し、酵素反応の立体化学を精査した結果、植物の酵素も他の生物と同一の立体化学であることを立証した。 4.ファルネシルニリン酸合成酵素:基質のニリン酸部をメチレンジホスホン酸などに変換した人工基質類縁体に対する反応生を調べた結果、プレニルトランスフェラーゼ反応での基質におけるニリン酸部は、アリル性基質ではよい脱離基として、またホモアリル性基質では求核的効果を示すものとして重要な役割をしていることが示唆された。
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[Publications] 古山種俊,吉田一郎,小倉協三: J.Biochem.103. 867-871 (1988)
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[Publications] 古山種俊,国分裕一郎,小倉協三: Phytochemistry. 27. 2005-2009 (1988)
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[Publications] 古山種俊,伊藤美智夫,大沼信一,小倉協三: Tetrahedron Letters. 29. 3807-3810 (1988)
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[Publications] 後藤猛,古山種俊,小倉協三: Biochem.Biophys.Res.Commun.156. 396-402 (1988)
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[Publications] 吉田一郎,古山種俊,小倉協三: Biochem.Biophys.Acta. (1989)
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[Publications] 古山種俊: "高分子学会バイオ・高分子研究会編「バイオ・高分子研究の進歩」第4巻第5章" 学会出版センター, (1989)