1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63580117
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金田 典雄 名古屋大学, 医学部, 講師 (00144139)
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Keywords | チロシン水酸化酵素 / ヒト遺伝子DNA / COS細胞 |
Research Abstract |
チロシン水酸化酵素(TH)は、カテコールアミン生合成の第一律速段階のL-チロシンからL-ドーパの生成を触媒する。Fe^2酵素で補酵素にプテリンを要求し、分子量60KDaのサブユニットよりなるテトラマーで分子量240KDaである。チロシン水酸化酵素の遺伝子の発現は、神経の発育と分化に伴って、組織特異的に調節されており、サイクリックAMP、グルココルチドイド、NGF、神経伝達作用などの諸因子で調節されている。我々は、cDNAクローニングにより4種のヒトTHのmRNA(タイプ1,2,3,4)を得て塩基配列を決定した。さらに我々はヒト遺伝子DNAを分離して塩基配列を決定した。ヒトTHmRNAの塩基配列はN末端側のみ異なりc末端側の主要部分は等しい。4種のmRNAの各々は類似しているが異なるTH分子をコードしている。タイプ2と3のmRNAは、タイプ1mRNAの90番と91番の塩基の間に、それぞれ12塩基対または81塩基対が挿入されている。タイプ4mRNAは、タイプ2の12塩基対とタイプ3の81塩基対の配列の合わさった93塩基対がタイプ1の同じ位置に挿入されている。タイプ2の12塩基対の配列はエキソン1の3、端末にコードされている。タイプ3の81塩基対の配列はエキソン2にコードされている。Southernブロットの結果と考え合わせて、ヒトTHmRNAの4種は単一遺伝子よりmRNAの選択的スプライシングにより生成されることを結論した。選択的スプライシングには2種類あり、エキソン1の2つのdonorsitesの選択と、エキソン2の挿入または欠失である。タイプ1ー4の4種の酵素はCOS細胞で発現し、すべて酵素活性をもっていた。4種のTH共にL-チロシンと補酵素の6ーメチルーテトラヒドロプテリンに対して類似のKm値を示したのが、比活性は異なっていた。タイプ1THの活性が最も高かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Uchida: Proc.Japan Acad.64. 290-293 (1988)
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[Publications] N.Kaneda: J.Biol.Chem.263. 7672-7677 (1988)
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[Publications] K.Kobayashi: FEBS Lett.238. 431-434 (1988)
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[Publications] K.Kobayashi: J.Biochem.103. 907-912 (1988)
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[Publications] N.Kaneda: Biochem.Biophys.Res.Commun.146. 971-975 (1987)
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[Publications] K.Kobayashi: Nucleic Acids Res.15. 6733 (1987)