1989 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞の増殖および転移機構におけるポリアミン関与機作に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63580118
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
樋廻 博重 三重大学, 医療技術短期大学部, 教授 (60024642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 邦夫 三重大学, 医学部, 教授 (40022800)
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Keywords | 癌の増殖抑制 / ポリアミン生合阻害 / スペルミジン / スペルミン / 白血病細胞 / P388白血病 |
Research Abstract |
種々の癌細胞においてポリアミン(スペルミジンとスペルミン)の合成量が高いことから、癌の治療法としTポリアミン生合成の阻害が考えられ、抗腫瘍剤のタ-ゲットとしてポリアミン生合成過程が注目されるようになってきた。これまでに開発されたポリアミン生合成阻害剤によって癌細胞内ポリアミン量が低下すると癌細胞の増殖が抑えられることがわかった。その中、メチルグリオキサ-ルビス(グアニルヒドラゾン)(MGBG)ハポリアミン生合成に関与する酵素の1つであるアデノシルメチオニンデカルボキシラ-ゼの阻害剤であり、スペルミジン合成酵素とスペルミン合成酵素の基質としてのデカルボキシアデノシルメチオニンを低下させる作用のある薬剤である。しかしながら、このMGBGは、副作用としてミトコンドリアに対する毒性があるため臨床応用にまではいたらなかった。そこで、私達は癌細胞内のスペルジミンとスペルミンの両ポリアミンをより有効に減少させるために、ポリアミンの生合成に関与する複数の酵素を同時に阻害する化合物メチルグリオキザ-ルビス(シクロペンチルアミジノヒドラゾン)を合成した。この化合物を培養白血病細胞の培地に添加することによってポリアミン量が減少し、白血病細胞内蛋白合成が著しく抑制され、白血病細胞の増殖が強く抑えられた。また、P388白血病細胞を移植したマウスに対してもかなりの延命効果がみられたので、この薬剤は癌治療薬として有望であると思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 樋廻博重: "Antitumor effect of methylglyoxal bis(3ーaminopropylamidinohydrazone),a new inhibitor of Sーadenosylmethionine" Cancer Chem.Pharmacol.22. 187-190 (1988)
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[Publications] 樋廻博重: "Stabilization of ornithine decarboxylase in mouse liver and lung by methylglyoxal bis(cyclohexylamidinohydrazone)" Biochem.Pharmacol. 37. 4117-4120 (1988)
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[Publications] 樋廻博重: "DifluoroーPhenylーethyl(4ーaminopropylamidinohydrazone),an irreversible inhibitor for both ornitine and Sーadenosyl" Cancer Latters. 39. 121-127 (1988)
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[Publications] 樋廻博重: "2ーMercaptoethylamine,a competitive inhibitor of spermidine synthase in mammalian cells" FEBS Letters. 229. 243-246 (1988)
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[Publications] 樋廻博重: "Inhibition of mouse skin tumor promotion and of promoter induced epidermal polyamine biosynthesis" Carcinogenesis. 9. 199-202 (1988)
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[Publications] 樋廻博重: "Antitumor effect of a new multienzyme inhibitor of polyamine synthetic pathway" Cancer Research. 49. 2065-2068 (1989)