1988 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリアATP合成酸素のフリップフロップ機構による活性調節-ATPアーゼ阻害蛋白、9K蛋白及び15K蛋白の協奏機構-
Project/Area Number |
63580122
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 忠雄 大阪大学, 医学部, 講師 (10028524)
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Keywords | ATP合成酵素 / ミトコンドリア / ATPアーゼインヒビター / 酵素の活性調節 |
Research Abstract |
1.ミトコンドリアのATP合成酸素は触媒部位を持つF_1部分とプロトンチャンネルを構成するF_0部分の2つの主要な部分から構成されているが、本研究はこのATP合成酸素の活性調節を行う三種類の制御因子が、それぞれATP合成酸素のどの部分に結合してその作用を現わすのか、その制御の機構はどのように行われるかを研究しようとしたものである。 2.本年度の主要な目的であった各制御因子の遺伝子をクローニングし、酵母を用いて各因子の欠損した変位酵母を作成することはすべて成功した。現在ATPアーゼインヒビター欠損株、9K蛋白欠損株、15K蛋白欠損株を得ると共に、さらに各二因子を組合わせた欠損株、三因子共に欠損した変異株も得ている。 3.各因子を欠損させても酵母はATP合成反応をミトコンドリアで行うことができるので、これらの制御因子はATP合成反応に直接関与するものでないことを明らかにした。しかしATPアーゼインヒビターで9K蛋白を欠損させた酵母は一定の条件下ではきわめて死滅しやすく、ATPの細胞内濃度が保持できなくなっている可能性が示唆された。また、15K蛋白欠損株ではATP分解活性が高まっており、ATPaseインヒビターが存在しても、このATPアーゼインヒビターが作動しにくくなっていることが示唆され、当初予想したように、15K蛋白が、ATPアーゼインヒビターと9Kに蛋白の作動性を制御する蛋白であることが裏付けられた。 4.人工膜にATP合成酵素を結合させ、人工膜上でのATP合成酵素と3制御因子の相互作用についての研究は今後の課題として残されている。
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[Publications] Hirokazu Ueda: Journal of Biochemistry. 104. 81-86 (1988)
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[Publications] Akira Akashi: Journal of Biochemistry. 104. 526-531 (1988)
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[Publications] 橋本忠雄: 代謝. 26. 61-67 (1989)