1988 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子工学を用いたトランスアミナーゼの触媒反応機構の解析
Project/Area Number |
63580131
|
Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
倉光 成紀 大阪医科大学, 医学部, 講師 (60153368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広津 健 大阪市立大学, 理学部, 講師 (10047269)
|
Keywords | トランスアミナーゼ / アミノ基転移酸素 / 遺伝子工学 / 酸素工学 / 触媒反応機構 / 酸素反応速度論 / ビタミンB6 / アスパラギン酸トランスアミナーゼ |
Research Abstract |
アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AspAT)の触媒反応機構を解析するために、クローニングした大腸菌ApsATの遺伝子の塩基配列を決定し、その結果をもとにししてAspAT量産化プラスミドを作製し、酸素を生成した。 まず最初に、野生型AspATのX線結晶解析を2.5A^^○分解能で行って、活性部位に存在するアミノ酸残基を明らかにした。その結果をもとにして、活性部位に存在し、触媒反応過程で重要な電子の移動に関与する可能性のある残基を、合成オリゴヌクレオチドを用いた部位特異的変異法で次のように置換した。Lys258→Arg,Ala,Met,Glu,His;Tyr70→Phe:Tyr225→Pbe,Arg,His;Asp222→Glu,Ala,Asn;His143→Arg,Ala,Asn:Arg292→20種類すべてのアミノ酸残基;Arg386→Lys,His.これら変異型酸素のX線結晶解析も順次行っている。 野生型および変異型酸素と基質との反応過程をストップトフロー法で解析したところ、酸素反応は、基質との速い結合平衡過程と遅い律速過程の分子内反応とから成る事が明らかになった。重水素化した基質を用いた実験結果から、律速過程は基質のプロトンが引き抜かれる過程である事も明らかになった。この律速過程では、Lys258,Tyr70,Tyr225,Asp222が重要な役割を果している事が明らかになった。しかし、今まで重要だと考えられてきたHis143は、Ala,Asnに置換しても活性にほとんど影響をあたえなかった事から、今までに一次構造が決定されている十種類の生物すべてに保存されているHis143の役割には疑問が残る。 速い結合過程には、基質に存在する2つのアルボキシル基と酸素のArg292,Arg386との静電的相互作用が関与しているが、各々の静電的相互作用のうちで、Argと基質のカルボキシル基との水素結合の寄与は5〜6kcal・mol^<-1>、塩結合の寄与では1〜2kcal・mol^<-1>である事が明らかになった。 変異酸素のうちで数種類の酸素については、野生型酸素で検出不可能な反応中間体を観測することができたので、これらの同定を進めている。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Sigehiro KAMITORI.: J.Biochem.104. 317-318 (1988)
-
[Publications] Katsura INOUE.: J.Biochem.104. 778-784 (1988)
-
[Publications] Yasushi INOUE.: J.Biol Chem.264. (1989)
-
[Publications] Hideyuki HAYASHI.: Biochem Biophys.Res Commun.(1989)
-
[Publications] 倉光 成紀: 生物物理. 28. 7-11 (1988)
-
[Publications] 倉光 成紀: 臨床科学. 25. (1989)
-
[Publications] Katsuyuki TANIZAWA.: J.Biol Chem.264. (1989)
-
[Publications] Fujio NAGASHIMA.: Biochemistry. 28. (1989)