1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着に関与する糖鎖構造の決定及びその機能の解明
Project/Area Number |
63580132
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
吉田 元信 近畿大学, 食品科学研究所, 助手 (80192425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊田 秀吉 近畿大学, 農学部, 助教授 (00150805)
飯塚 義富 近畿大学, 農学部, 教授 (90088170)
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Keywords | 細胞認識機構 / 細胞接着分子 / 表面抗原に対するモノクローナル抗体 / 糖鎖構造 / 突然変異体 / 細胞性粘菌 |
Research Abstract |
細胞性粘菌(Dictyostelium discoideum)の集合期における細胞接着機構を分子レベルで解明すべく研究を進めてきた。これまでに、この細胞接着には分子量8.0万の膜糖タンパク質(contact site A)の糖鎖が重要な役割を果していることを、ポリクローナル抗体を用いての中和実験、レクチンを用いての処理実験および糖鎖欠損突然変異株の解析などにより明らかにした。また、精製したcontact site Aより作成した抗体のひとつは、集合期における細胞接着を完全に阻害した。その抗体は主としてcontact site Aの2種類の糖鎖のうちのひとつであるcarbohydrateIIを認識していた。 したがって、本年度の研究として、(1)carbohydrateIIに対するモノクローナル抗体を作成することにより、carbohydrateII糖鎖を単離するためのプローブを得た。私共の研究室では、ハイブリドーマの培養を行なうに充分な蒸留水採水装置がなく、設備備品費で超純水製造装置を購入した。この仕事は現在進行中であり、単離したモノクローナル抗体を用いてアフィニティカラムを作成し、糖鎖構造決定に必要なcarbohydrateIIを集める予定である。また、(2)電気融合法を用いて、carbohydrateIおよびcarbohydrateII糖鎖生合成過程での相補性を調べる目的で実験を行った。つまり、carbohydrateIのみを保持する不完全なcontact site A(分子量6.8万)を発現する糖鎖欠損突然変異株とcarbohydrateIIのみを保持する不完全なcontact site A(分子量6.6万)を発現するツニカマイシン処理細胞とを電気融合法を用いて融合させた。その融合細胞のSDS-PAGEは分子量8.0万の完全なcontact site Aを示した。これらの結果は2種類の異なるドリコール糖中間体が存在し、それらが相補的に作用し、分子量8.0万の完全なcontact site Aを合成することを示唆した。今後は単離したcarbohydrateIIの糖鎖構造の決定とその生合成過程を明らかにすべく研究を進めてゆく予定である。
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[Publications] M.Yoshida,;Y.Iizuka,: J.Gen.Microbiol.135. (1989)
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[Publications] M.Yoshida,;Y.Iizuka,: Submitted for Gene & Develop.
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[Publications] 吉田元信、松谷幸子、飯塚義富: 近畿大学農学部紀要. 21. 67-71 (1988)