1988 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸による神経初期発生特異的ガングリオシドの発現誘導機構の解析
Project/Area Number |
63580139
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
桃井 隆 国立精神・神経センター, 神経研究所, 室長 (40143507)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 淳子 国立精神, 神経センター・神経研究所, 研究員
北本 年弘 国立精神, 神経センター・神経研究所, 研究員
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Keywords | レチノイン酸 / 細胞内レチノイン酸結合タンパク / CRABP / 形態形成因子 / モルフォージュン / 肢芽形成 |
Research Abstract |
ビタミンAの誘導体であるレチノイン酸はニワトリ肢芽形成のパターンに関与するモルフォージェン(形態形成因子)として、近年同定されるに至った。レチノイン酸の生理作用は、細胞内レチノイン酸結合タンパク(CRABP)を介して、核へと運搬され、受容体(RAR)による遺伝子発現の調節を受ける。本研究では、レチノイン酸の生理作用の発現に必須な、CRABPの発生過程での発現及び分布を検討した。 〔結果〕(1).CRABPのニワトリ初期胚での発現をCRABP抗体を用いて、イムノブロット法、及び組織染色等により調べた結果、CRABPは、肢芽のみならず、脳脊髄等の中枢神経系に特異的に発現しており、その発現は、4-5日胚でピークを示し、一過性の発現を示した。 (2).ニワトリ14日胚より、新しいCRABPとして、CRABPIIを発見した。このN-端のアミノ酸配列は、CRABP-Iと83%の類似性を示すものの、明らかに異なった遺伝子によりコードされる新しいCRABPであった。CRABP-IIは、ニワトリ肢芽に、一方、CRABPは、胎生期の中枢神経系に特異的に発現していた。 このように、従来、レチノイン酸の応答は、一つの情報伝達経路を経るものと考えられていたが、胎生期には、レチノイン酸は二つの異なったCRABPを介して異なった形態形成の調節を行なっているものと想定された。現在二つのタンパク遺伝子をそれぞれ分離しており、それぞれの遺伝子が、肢芽及び神経系での形態形成でどのように発現され、調節されるかが重要と考える。
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[Publications] Ohsugi,K.: Dev.Biology. 130. 454-463 (1988)
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[Publications] Momoi,T.: Proc.Japan Acad.64. 294-297 (1988)
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[Publications] Kitamoto,T.: Biochem.Biophys Res.Commun.157. 1302-1306 (1988)
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[Publications] Momoi,T.: Biomedical Res.10. 43-48 (1989)
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[Publications] Shimoizumi,H.: Annals of Neurology.
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[Publications] Momoi,T.: Proc.Japan Acad.65. 9-12 (1989)