1988 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子による細胞増殖誘導の初期反応機構に関する研究
Project/Area Number |
63580143
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大槻 健蔵 北里大学, 衛生学部, 助教授 (60124559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
逸見 仁道 相模原中央化学研究所, 研究員 (90165514)
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Keywords | 細胞増殖の誘導機構 / 細胞増殖因子 / プロテインキナーゼ / 細胞膜結合蛋白質 / 蛋白質のリン酸化 / シグナル伝達系 |
Research Abstract |
細胞増殖の初期反応機構、特に細胞膜結合性プロテインキナーゼによる細胞膜結合性蛋白質のリン酸化を指標にして、休眠状態にある細胞をその特異細胞増殖因子(GF)で処理した後径時的にSDSーPAGEとオートラジオグラフィーで解析した。その結果、GF処理後分子量約56KDaの糖蛋白質および98KDaの蛋白質の特異的なリン酸化を認めた。そこで、これら2種のリン酸化蛋白質をマウス腹水がん細胞膜画分よりDEAEーセルロースとPhosphoーセルロースカラムクロマトグラフィーおよびSephacyl S200ゲル濾過によって部分精製した。さらに、最終的にはこれらの部分精製標品をそれぞれFPLC(Mono Qカラム)で単一蛋白質画分にまで精製した。精製された56KDa糖蛋白質は、(i)キナーゼCおよびキナーゼPによってin vitroでも著しくリン酸化されること、さらに(ii)抗tag抗体によってリン酸化が特異的に阻害されることなどから、本糖蛋白質は1Lー2レセプターであることが示唆された。一方、精製された98KDa蛋白質は(i)DNA結合活性があること、(ii)DNAポレメラーゼ活性を促進すること、さらに(iii)カセインキナーゼIIによって特異的にリン酸化されることなどが明らかになった。しかも、本蛋白質のGFによる誘導キネテックスはmyCー遺伝子産物のそれとよく対応することから、本蛋白質の細胞増殖誘導との関与が強く示唆された。上述の研究結果を基に、これら2種の細胞膜結合性蛋白質のリン酸化と検出条件を確立させることにより、各種GFによる細胞増殖誘導の直接的なAssay法を確立させた。この実験法は、ウイルスなどによる細胞トランスホーメションなどにも応用出来、簡便且つ定量的な手法として拡く活用されると期待される。今後は、これらのリン酸化蛋白質が、細胞増殖シグナル伝達系にどのような関係があるのかを解明したいと考えている。
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[Publications] K.Koike;K.Ohtsuki: J.Biochem.103. 928-937 (1988)
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[Publications] T.Ikeuchi;M.Yokoyama;K.Ohtsuki: Tohoku J.Exp.Med.155. 41-56 (1988)
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[Publications] K.Ohtsuki;N.Ishida: Biochem.Biophs.Res.Commun.157. 597-604 (1988)
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[Publications] K.Ohtsuki;S.Kanno: 1988 Annual Meeting of Interferon Research. (1988)
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[Publications] 大槻健蔵: 蛋白質・核酸・酵素. 33. 42-55 (1988)