1989 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア内膜と外膜を識別する蛋白質の膜特異的局在化機構の研究
Project/Area Number |
63580151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長谷 俊治 名古屋大学, 農学部, 助教授 (00127276)
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Keywords | ミトコンドリア / 膜蛋白質 / 蛋白質の細胞内輸送 / チトクロムc_1 |
Research Abstract |
ミトコンドリア外膜蛋白質と内膜蛋白質が細胞内では両方の膜を区別して局在化することに着目し,この膜識別の機構を詳細に解析できる実験系を開発した。酵母ミトコンドリア外膜の分子量7万の蛋白質(70KDと略)と内膜電子伝達蛋白質の一つであるチトクロムc_1を材料として遺伝子修飾の手法を用いて研究を行い、以下の知見が新たに得られた。 1.チトクロムc_1の成熟型分子のN末端側に、70KD蛋白質由来のミトコンドリア認識領域と外膜結合領域(N末端61残基)を融合させた分子は酵母細胞内では外膜に結合する。 2.チトクロムc_1を欠失させた呼吸欠損酵母にこの融合遺伝子を導入しても、融合蛋白質が外膜に留まるために呼吸能の回復はない。この酵母細胞を変異剤処理して、呼吸能が回復するような変異株を多数得た。この中から、融合蛋白質が内膜にまで達して機能するチトクロムc_1になると予想される異変株を選別した。交雑実験よりこの変異は優勢形質でなることが判明した。 3.この変異株から膜結合特異性の変化にかかわる遺伝子の単離を行ない。6.2kbのDNA断片を得た。この断片を野生型酵母に導入すると、上記の融合蛋白質は内膜に局在化するようになることを確認した。現在、この遺伝子が含まれる領域を2kbの長まで絞り込むことができており、今後、構造決定と遺伝子発現とその産物の同定に全力を注ぐ。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Nakai: "Precise determination of the mitochondrial import signal contained in a 70kDa protein of yeast mitochondrial outer membane" J.Biochemistry. 105. 513-519 (1989)
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[Publications] M.Nakai: "Protein sorting between the outer and inner mitochondrial membrane:submitochondrial localization of cytochrome c_1 whose presequence is replaced by the amino-terminal region of a 70 kDa outer membrane" J.Biochemistry. 106. 181-187 (1989)