1989 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸ラセマ-ゼのタンパク質構造と触媒機構の解明
Project/Area Number |
63580152
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷澤 克行 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (20133134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
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Keywords | アラニンラセマ-ゼ / グルタミン酸ラセマ-ゼ / ラセミ化 / ピリドキサル酵素 / 耐熱性酵素 / ドメイン構造 |
Research Abstract |
中等度好熱性細菌Bacillus stearothermophilusの耐熱性アラニンラセマ-ゼの構造遺伝子をクロ-ニングし、そのDNA配列を決定するとともに、精製酵素のトリプシン消化ペプチドのアミノ酸配列とから、本酵素の全一次構造を明らかにした。また、塩酸グアニジンによる変性過程のCD測定やプロテア-ゼによる限定分解を行い、本酵素サブユニットが大小2個のドメイン構造をもつことを明らかにした。本酵素は各種のプロテア-ゼによりTyrー268の付近で切断を受けるが、ほとんど酵素活性を失わないという特徴を示した。そこで、本酵素の構造遺伝子中で、ドメイン間のヒンジに相当する部位に合成DNAを挿入し、ドメインを別々のポリペプチドとして発現させたところ、この遺伝子産物は野生型のアラニンラセマ-ゼとほぼ同じ分子量と比活性を示した。一方、各ドメインをを別々にクロ-ン化し、発現させた場合、その産物は不溶化した。各ドメインを分別精製し、それぞれの物性を明らかにして再構成実験を行うことにより、酵素触媒機能発現には両ドメインが必須であるが、両ドメイン間は必ずしも共有結合している必要はないことが判明した。また、本酵素タンパク質の生合成過程で両ドメインのポリペプチドが立体構造形成において協同的に働いていることが示唆された。ポリエチレングリコ-ル蒸気拡散法により本酵素の単結晶を調製した。この結晶は分解能2.8Å以上のX線回折像を与え、現在これを解析中である。 乳酸菌Pedococcus pentosaceusのグルタミン酸ラセマ-ゼをクロ-ン株から大量に精製して、本酵素反応における基質のαー水素転移の反応機構を解析した。重大素標識した基質や重水溶媒を用いるシングルタ-ンオ-バ-条件下での反応生成物を解析した結果、基質から反応生成物へのαー水素の分子内転移が観察され、本酵素反応は単一水素受容体機構に従って進行することが示唆された。
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Research Products
(1 results)