1988 Fiscal Year Annual Research Report
ラウリン酸W-1水酸化酵素(P-450)の機能部位の解析
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63580153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今井 嘉郎 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (60029949)
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Keywords | チトクロムP450 / ラウリン酸水酸化酵素 / 動物蛋白質の酵母内発現 / キメラ酵素 / CDNAの点変異 / 人工的変異酵素 / 酵素の機能部位 / 一次構造と基質特異性 |
Research Abstract |
われわれはこれまでの研究によりラウリン酸水酸化酵素のアミノ酸210〜262の領域(EA領域)が基質の結合に必要であるが、水酸化にはさらにN末端部分を必要とすることを見出している。本年度の研究までは人工変異体CDNAの作成、酵母内発現、精製と性質の同定によって、N末端側必須領域をより狭い部分に限定、EA領域中の重要アミノ酸の推定、新たに水酸化の位置と程度の決定に関わるアミノ酸残基の発見を行った。1.本酵素と一次構造上81%の相同性をもつテストステロン16α水酸化酵素とのキメラ酵素を両者のCDNAに共通な制限酵素認識位置を利用して作り、PH領域(アミノ酸43〜125)が有効であることを示した。次にPH領域内に相当する部位に新たに制限酵素認識配列を点変異で導入、同様に解析した結果、必須部位をBH良識(アミノ酸90〜125)に限定できた。今後はこの領域の意味付けを行う共に、C末端側部についても同様に解析したい。2.EA領域中に存在する4個の塩基性アミノ酸を点変異により中性または酸性アミノ酸に置換し、基質の親和性および活性に対する影響を調べた。1個の置換ではほとんど影響しないが、複数個所を組み合わせて解析した結果、231〜235の塩基性アミノ酸クラスターが水酸化活性に影響を及ぼしていることが判った。3.点変異により301残基目スレオニンを他の6種のアミノ酸(セリン、バリンなど)に置換したところ、活性値のみならず、ラウリン酸とカプリン酸に対する活性比およびカプリン酸の2種の水酸化産物(W位とW-1位水酸化体)の割合が置換したアミノ酸により異なっていた。また、基質の結合および外性配位子との相互作用もそれぞれに特有の影響がみられ、ヘムの第6配位子(酸素を結合して活性かする側)に面する部位の疎水性が基質特異性決定に重要な意義を持つことが判った。今後はこの残基の役割の一般性について検討したい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshio Imai: FEBS Lett.234. 313-315 (1988)
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[Publications] Yoshio Imae: J.Toxicol.Sci.Suppl. 290-295 (1988)
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[Publications] 今井嘉郎: 薬物動態. 3. 91-99 (1988)
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[Publications] Yoshio Imai: Biochem.Biophy.Res.Commun.158. 717-722 (1989)