1989 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体ATP合成酵素CF_0CF_1の異なった活性状態間における高次構造上の差異
Project/Area Number |
63580158
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高木 みづほ 帝京大学, 薬学部, 助手 (00112764)
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Keywords | 葉緑体 / ATP合成酵素 / CF_0CF_1 / ξサブユニット / リシン残基 / ピリドキサ-ルリン酸 / 高次構造の変化 / 活性化状態 |
Research Abstract |
葉緑体チラコイド膜上のATP合成酵素CF_0CF_1は光照射により活性化されATP合成的に、またATP加水分解的に活性な状態を示すようになる。CF_0CF_1が異なった活性化状態をとっている時、それぞれの高次構造も異なっていると予想される。CF_0CF_1のある構成アミノ酸残基のまわりの高次構造が大きく変化した場合そのアミノ酸残基の性質が変化することが考えられる。従って構成アミノ酸残基の反応性の変化を調べることによって逆にそのアミノ酸残基のまわりの高次構造の変化を推定することができる。昨年度はリシン残基の反応性がCF_0CF_1の活性化状態を変えることでどのようよに変化するのかをリミン残基に特異的に反応するピリドキガ-ルリン酸(PLP)を用いて調べた。その結果CF_0CF_1の活性化状態の変化に対応してεサブユニットに反応性の変化するリシン残基が存在することがわかった。暗所でPLPと反応させた場合このリシン残基はほとんどPLPと結合しないが、光照射下ではすみやかにPLPと結合する。この結果はCF_0CF_1が不活性な状態から高い活性化状態に変化する過程でεサブユニット上の特定のリシン残基の反応性を著しく高めるような高次構造上の変化が起こっていることを示している。本年度はこのリシン残基がεサブユニットの二次構造上どこに位置しているのかを調べた。方法としてはPLP修飾をほどこしたεサブユニットと、いくつかの酵素を併用してペプチド断片化し、HPLCをくり返すことにより、高純度の蛍光性ペプチド(PLP修飾されているペプチド)を単離し、アミノ酸シ-クエンサ-にかけてペプチドのアミノ酸配列を決定した。その結果CF_0CF_1の活性化の過程で反応性の変化するアミノ酸残基は第109番目のリシン残基であることがわかった。CF_0CF_1の活性化にともないCF_1のξサブユニット上では、リシン-109の反応性を大きくするような高次構造上の変化が起こっていると考えられる。
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Research Products
(1 results)