1988 Fiscal Year Annual Research Report
核エネルギー及びそれに伴う物質からみた未来準平衡社会の研究
Project/Area Number |
63580171
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
関本 博 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (00108242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北沢 日出男 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50016862)
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Keywords | 未来準核平衡社会核エネルギー / 核燃料物質 / 放射性廃棄物 / 核分裂炉 / 高速炉 / 熱中性子炉 / 燃料サイクル / 天然ウラン / アクチノイド / 核データ / 群定数 / 計算コード / 中性子スベクトル / 核分裂 |
Research Abstract |
未来準核平衡社会の研究の第一歩として、この社会の原子炉等核燃料施設(最終貯蔵施設等も含む)における核燃料物資や放射性廃棄物の分布を調べている。今回は最初の取り組みとして、現在実用化が確実視されている核分裂炉だけを考え、核融合炉は試用できないような状況について研究した。原子炉としてのそれぞれ2種類の高速炉と熱中性子炉に関して研究した。燃料サイクルは、連続的に天然ウランを炉心に装荷し、核分裂生成物取り除くことにした。アクチノイドは炉心に入れたままで外には取り出さないことにした。 このためまず必要なアクチノイドの核データの整備をおこなった。既成のデータセットも利用したが、未来準核平衡社会の解析のためにはかなりの数の核種に対するデータが不足しており、これらを実験データと核理論を用いて求めた。次にこれらの核データを用いて群定数を作成した。最後にこれらの群定数と我々の開発した準平衡核システム計算用コードを用いて、未来核平衡社会における核種の存在量や原子炉の成立性等に関して研究をおこなった。 これらの研究の結果、(1)中性子スペムクトルがソフトで、絶対値が大きい程、より思い超ウラン元素の割合が増加する。(2)熱中性子炉のスペクトルでは平衡状態を達成できない。(3)いずけのスペクトルでも^<239>Puが全核分裂数の半分以上を担っている。他に熱中性子炉では^<241>Puや^<245>cmの寄与が、高速炉では^<238>Uや^<240>Puのしきい核分裂の寄与が大きい。(4)アクチノイドの放射能の量は熱中性子炉の方が高速炉より大きい。といったことがわかった。 多くの近似や仮定を使っての解析であったが、有用な知見が得られた。今後、解析の精度を上げるとともに、未来準核平衡社会の研究をより広い分野に亘って展開していく予定である。
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