1988 Fiscal Year Annual Research Report
放射性イオンクロマトグラフ法による核分裂生成希土類元素の分離同定に関する研究
Project/Area Number |
63580177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉井 忠治 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (10027427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 愛子 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70027449)
西川 佐太郎 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (60027430)
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Keywords | 放射能 / イオンクロマトグラフ / 核分裂生成物 / 希土類元素 / 迅速化学分離 |
Research Abstract |
短寿命核分裂生成物等の分離・検出装置として、複数(電気伝導度、紫外可視、放射線)の検出器を装備した装射能イオンクロマトグラフ装置を開発し、それを用いて、原子炉中性子の照射により生成した核分裂生成物の迅速化学分離法の確立を行った。まず、はじめに水溶液中に存在する軽希土類元素の3価イオン種のクロマトグラフ的分離挙動を検討した。用いた溶離剤は、αーヒドロキシイソ酪酸、ニトリロ三酢酸、クエン酸等であり、これら有機酸と錯イオンを形成し樹脂から溶離する。この溶離挙動は、錯化剤の濃度と溶離液のpHにより、その溶離時間が決められる。錯化剤濃度を濃くすると溶離時間は早くなり、pHを低くすると、溶離時間は長くなることが判明した。また希土類元素の溶離時間は、錯化剤と金属イオンとの錯安定度定数の順(原子番号の高い順)に溶離されてくることも明らかになった。このことは、この種の陽イオン交換樹脂を用いることにより、核分裂収率の低いサマリウムの方が核分裂収率の高いランタンより早く溶離するので、テーリングの影響を受けず、高感度に検出できることが判り、核分裂生成の分離に本放射能イオンクロマトグラフ法が最適な方法の一つであることが結論づけられ、今後の希土類元素の迅速分離に利用可能であるばかりでなく、同様のことが超ウラン元素の分離にも応用できる見通しができた。しかし、αーヒドロキシイソ酪酸は、2価の金属イオン(Co^<2+>やNi^<2+>)がそれぞれ、プラセオジム、ネオジムとほぼ同じ溶離時間を示すので、これらの不純物の存在下では、不都合な結果となる。一方、ニトリロ三酢酸やクエン酸では、このような2価の陽イオンの妨害は見られなく、新しい溶離剤として、今後期待できる。このようにイオンクロマトグラフ法で分離された希土類元素フラクション中には、わずかのテルルが不純物として存在するので、しゅう酸塩として希土類元素を沈澱分離にも成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Sataro NISHIKAWA;et al.: Kyoto Daigaku Genshiro Jikkensho Gakujutsu Koenkai Koen Yoshishu. 23. 183-188 (1989)
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[Publications] Tadaharu TAMAI;et al.: SPEY(Research on Thorium Fuel). 21. 29-34 (1987)
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[Publications] Tadaharu TAMAI;et al.: Annu.Rept.Res.Reactor Inst.Kyoto Univ.19. 124-129 (1986)
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[Publications] Tadaharu TAMAI;et al.: Annu.Rep.Res.Reactor Inst.Kyoto Univ.17. 150-154 (1984)
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[Publications] Toshikazu SHIBATA;et al.: Nucl.Sci.Eng.229. 405-417 (1984)
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[Publications] Tadaharu TAMAI;et al.: RCNP-P(Osaka Univ.). 80. 118-121 (1985)