1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63580197
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福岡 義隆 広島大学, 総合科学部, 教授 (00007361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 日出男 広島大学, 総合科学部, 助手 (40202155)
中越 信和 広島大学, 総合科学部, 助手 (50188918)
根平 邦人 広島大学, 総合科学部, 教授 (40034582)
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Keywords | 総観場解析 / メソ気候現象 / 局地低気圧 / スギ花粉 / 埋め立て地 / 潮汐 / 熱汚染 / 陸風反流 |
Research Abstract |
(1)今年度の主要テ-マの1つである海陸風発現の総観場解析では、メン気候現象としての局地低気圧の発達と海風循環との関係について、実測値と既存資料(気象庁観測値)で研究を進めた結果、内陸に熱的低気圧が発達し相対的に高圧部の海側からの風(海風)が吹くことが認められた。このことは従来の局地的海風より規模の大きいメソ海風を暗示する。 (2)初年度は花粉などの空中飛散物の2〜3週間の積算値でしか把握できなかったが、2年度目は、スギ花粉や人工起源のチャコ-ルなどが内陸に多発し、夜間の陸風で海岸部や島嶼部に運ばれることが、空中花粉と海陸風循環の時間変化の調査で明らかになった。スギ花粉などが、広島湾の海陸風の構造(とくに陸風)を知る上でのトレ-サ-の役割を演じてくれることが実証された。 (3)広島湾などは埋立て地が多く構築され、そのために海陸風が歪められる可能性があるので、このことを予測する上で、潮汐現象をシミュレ-タに見立てて、広く陸化すると陸風の吹走方向などが変位されることも明らかにした。ただし、このための作業は九州の有明海を対象とした。 (4)花粉をトレ-サ-に見立てた海陸風循環構造の解明は、現実の大気汚染の動態を知る上で大きなヒントになることも確認できた。広島市の都市大気の熱汚染(ヒ-トアイランド)が、夜は陸風により、昼は海風により変位されることとか、呉市の夜間に汚染源のない筈の陸風時に大気汚染(ふんじん)が高濃度になる事実は、陸風反流(上層海風)とか海風反流(上層陸風)のような吹き戻し現象やメソスケ-ル海陸風循環による遠距離輸送などが想定することができた。
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[Publications] 龍絵理子,高橋日出男,福岡義隆: "筑紫平野における海陸風と有明海の潮汐" 地理科学(地理科学会誌). 45. 20-30 (1990)
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[Publications] 石川義二,福岡義隆,高橋日出男: "局地高低気圧と海風との関係について" 天気(日本気象学会誌). 予定. (1990)
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[Publications] 福岡義隆,高橋日出男,平中純: "呉における局地気象と大気汚染の関係について" 環境情報科学(環境情報科学センタ-〓). (1990)