1988 Fiscal Year Annual Research Report
急速凍結EXAFS法による金属タンパク質の反応メカニズムの解析
Project/Area Number |
63580216
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
西郷 敏 自治医科大学, 医学部, 助教授 (70049071)
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Keywords | 急速凍結 / EXAFS / X線吸収スペクトル / 反応中間体 / 酵素反応 |
Research Abstract |
代表者は、タンパク質の反応過程におけるEXAFS変化を蛍光法で追跡するための急速凍結装置を数年前に試作し、いくつかの試料についてX線吸収スペクトルの測定を行ってきた。反応中間体を長時間(10時間以上)安定に捕捉し、質の高いデータを得るためには装置の改良が必要になったので、以下に述べるような装置を設計製作し、その性能を調べた。 1.設計の要点 複数の試料を測定する能率を上げるため、試料調製部と観測部を分離し、昇温降温のサイクルを不要にする。試料調製部は、デュワー中に収め、液体窒素とヒーターで温度制御する。観測部は、ガスフロー型のクライオスタットの方式にする。これにより、調製部で準備した試料セルを迅速に観測部に移すことが可能になるとともに、試料を液体窒素温度に保つことが可能になる。 2.性能のテスト 試料調製部の冷媒のイソペンタンは、-140℃の温度に安定に保たれた。イソペンタン中に噴出した試料は、微細な氷の粒となり、試料セル中に詰めることが出来た。試料セルを観測部に移した後、試料の温度は長時間、液体窒素温度に保たれていることを確認した。クライオスタット内部を油回転ポンプで引いて真空に保つことにより、X線測定を妨げる霜や露が観測窓などに付着することを完全に防止した。フォトンファクトリーの放射光を用いて、短時間の測定を行った。 3.今後の課題 製作した装置は、ほぼ予定通りの性能を持っていることが確かめられた。測定の結果、X線の散乱光が強いことが明らかになったので、これを減らす工夫が必要である。さらに、ペルオキシダーゼやカタラーゼの中間体をこの装置を用いて測定し、実際に解析可能なデータを得ることが当面の目標である。
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