1988 Fiscal Year Annual Research Report
資料解析に基づく防災ポテンシャルの変遷に関する研究
Project/Area Number |
63601018
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
水谷 伸治郎 名古屋大学, 理学部, 教授 (50022538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河田 恵昭 京都大学, 防災研究所, 助教授 (10027295)
高木 不折 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023057)
荒牧 重雄 東京大学, 地震研究所, 教授 (60012895)
高橋 裕 芝浦工業大学, 教授 (20010572)
加藤 誠 北海道大学, 理学部, 教授 (60000824)
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Keywords | 自然災害 / 地区資料センター / データベース / 地域性 / 防災力 / 社会 / 都市化 / 災害史 |
Research Abstract |
本年の研究も昨年度に引き続き、それぞれの専門分野について、自然災害の発生現象と社会の動きとの関係を検討し、とくに、歴史的な変化についてその動きを調査した。同時に、それぞれの地域の地区資料センターの活動を支える意味で、突発災害の援助(北海道の層雲峡の崩壊、十勝岳の噴火など)、データベースの構築、各種データ構造の研究などが進められた。 とくに本年度に話題になった点は次の2点である。 まず、災害が多様であることからも推察されるように、社会の防災ポテンシャルと考えられる被災の状態や特性は、自然現象と社会の各時代との種々な組み合わせでいろいろ変化している。具体的な例を挙げながらまとめると、一つは自然現象自体の特徴により(地盤災害現象)、また、次に防災対策を立案・実施した結果としての影響により(河川災害現象)、そして、最後に、社会自体の変化(ことに最近の都市化によるもの)に伴う災害の複合化によって、その防災能力の変遷は歴史時代から現在にかけて、いくつかの特徴をもったものに分類できる。そしてこの結果は、それぞれに対応した対策を含めた広い防災施策を考えなければならないことを示唆している。 第二の点は、自然災害科学の研究を研究史をたどって歴史的に検討してみると、結局、実際役立つ知識体系や基礎数値はすべて、直接関係のない基礎的な(そして、ここが注目すべきなのであるが、随分前に行われた、自然災害とは一見何の関係もない)実験や研究結果が役にたっていることである。電線の着雪現象と高圧線鉄塔の倒壊災害との関係を検討した一連の研究はその好例であろう。 なお、これらの研究で用いられた資料は各地の自然災害科学地区資料センターに保管され、今後の研究に活用される予定である。
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[Publications] 阿部広史・川上浩: 基礎工. 17. 81-89 (1989)
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[Publications] 荒牧重雄: 地球. 10. 289-296 (1988)
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[Publications] 林重徳: 土と基礎. 36. 87-92 (1988)
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[Publications] 平野昌繁: 京大防災研年報. 31. 127-138 (1988)
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[Publications] 伊藤驍・長谷川武司: Intern.Symposium,Cold Region Development,(Harbin,CHINA). 1. 306-317 (1988)
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[Publications] 若浜五郎: 北海道地区自然災害科学資料センター報告.3. 3-15 (1988)
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[Publications] 水谷伸治郎: "図説地球科学(第25章.変動帯の地体構造)" 岩波書店, 236-245 (1988)
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[Publications] 高橋裕: "都市と水" 岩波書店, 1-215 (1988)