1988 Fiscal Year Annual Research Report
西南北海道における火山災害予測と防災に関する基礎的研究
Project/Area Number |
63601502
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
勝井 義雄 北海道大学, 理学部, 教授 (40000757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井田 清信 北海道大学, 理学部, 講師 (30111149)
河内 晋平 北海道大学, 理学部, 助教授 (10000829)
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Keywords | 駒ケ岳 / 降下軽石 / 軽石流 / 火砕サージ / 岩屑なだれ / 災害予測図 |
Research Abstract |
本研究では、昭和62年度の有珠山につづき駒ケ岳を対象として、古記録を参照しつつ、噴出物の層序・分布から過去の火山活動の時期・様式・規模を明らかにするとともに、火山地質・火山構造を調査、噴出物の岩石学的性質を検討した。 駒ケ岳は有史時代に4回大噴火した。とくに1640年には、岩屑なだれと津波により犠牲者700余名、1856年には軽石流により犠牲者20数名、1929年には軽石流・降下軽石・火砕サージにより死者1名ほか負傷者多数の人的被害を生じ、これらの噴火の都度、山林・耕地・家畜・家屋などに大災害が発生している。 今回の調査の結果、駒ケ岳では基本山体が形成されたのち、約4万年前から山体崩壊期に入り、野外で識別されるだけでも10回をこえる大規模な爆発的噴火がくりかえされたことが明らかになった。それらの噴火様式は降下軽石・軽石流・火砕サージ・岩屑なだれ・泥流(土石流)などきわめて多岐にわたる。しかし噴出物の岩石学的性質では、たとえばSiO_2量は58-61%でほぼ一定しており、噴火様式が多様であるにもかかわらず著しい変化は認められない。 駒ケ岳は最後の大噴火(1929年)以来、すでに60年を経過しており、近い将来規模の大きい噴火発生が充分予想される。この噴火が、開発が進み、人口が過密化し、複雑化した今日の社会に与える影響は計り知れないものがあろう。したがって本研究では、有史時代を含む過去4万年間の噴出物の分布状況から、それらの到達危険域を地図上に示し、他の災害因子とともに、火山地域の長期開発計画において重視さるべきことを提言する。
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Research Products
(1 results)