1988 Fiscal Year Annual Research Report
道路建設に係る環境影響評価における集団意識構造の評価法に関する研究
Project/Area Number |
63602034
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田村 坦之 大阪大学, 工学部, 教授 (90029257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厚井 弘志 大阪府, 企業局, 主幹
藤田 真一 大阪府, 環境局, 主査
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Keywords | 交通公害 / 大気汚染 / 騒音 / 環境影響評価 / 効用理論 / 住民意識 / 集団意思決定 |
Research Abstract |
本研究の目的は、とくに都市圏において環境上最も重要な課題である交通公害の問題をとりあげ、幹線道路周辺の影響度評価や道路建設の環境影響評価に関して、地域住民と事業者の意識を公正に反映した意思決定支援システムを開発し、ひいては調和のとれた都市環境の創造に寄与することにある。 本年度はこの目的にそって、多属性効用関数を用いて道路からの意識的影響距離を算定することを試みた。道路からの影響項目としては、大気汚染、騒音及びホコリを選定し、筆者らが開発した凸依存性のもとでの多属性効用関数を用いることにより、道路からの心理的影響距離と汚染物質濃度との関係を直接把握する手法について検討した。今回、被験者は環境に対する知識のある者を対象とし、昨年度に実施したアンケート調査の対象道路に関するシミュレーション計算結果から得られた道路からの汚染物質寄与濃度を示しながら質問を行った。 道路からの影響距離については、アンケート結果を参考にして道路から200m以内を対象にした。すなわち、最悪の状況は0mの地点、最良の状況は200mの地点であるとして、地点(道路からの距離)と濃度を同時に示した上で、道路からの距離すなわち濃度に関する選好を質問した。道路は、上記3項目について負の効用を与えるので、不効用関数を同定した。この不効用関数は距離(すなわち濃度)の関数として表現される。 今後、先に求めた道路からの意識的影響度、今回求めた多属性効用関数(道路からのインパクトと距離の関係)、及び環境保全対策の困難度をもとにして、道路建設に係る環境影響評価に際して地域住民と事業者の間の合意形成を図る手法について検討する予定である。
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