1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63602508
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 正 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (70092385)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 章一郎 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (40111570)
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Keywords | 重金属イオン / クロロフィル / 抽出 / 分子変性 / 高速液体クロマトグラフィー |
Research Abstract |
主としてHPLCを用いた計測化学的アプローチにより重金属イオンの光合成色素変性作用を定量化し、重金属の植物影響解明に寄与することを目的として、下記について検討した。(1)HPLCの高分解能化 溶離液を従来の二元素からヘキサン/イソプロパノール/メタノール三元系とすることにより、多数のクロロフィル誘導体を迅速かつ完全に分離できるHPLC条件を確立した。またカラム通過時の分子変性が0.01%レベル以下であることを確認した。(2)色素抽出条件の改良 植物から色素を抽出する途上でクロロフィルaのδ炭素が塩素化されることを立証した。またこの塩素化のメカニズムを明らかにし、これを十分に抑制できる抽出条件および操作方法を案出した。(3)銀イオンのクロロフィル類変性作用 葉緑体を微量の硝酸銀で処理するとクロスフィル類のエピマー化とフェオフィチン化がともに促進されることを見出した。その機構が、前年度に見出されたHg^<2+>やCd^<2+>による変性促進作用と同様なものであることを確認した。(4)フェオフィチン化速度定数の測定 水性アセトンにクロロフィルaまたはa'を溶解し、塩化水素添加によりプロトン濃度を制御した媒質中でそれぞれのフェオフィチン化速度定数を測定した。いずれの場合も速度がプロトン濃度の2乗に比例することを見出し、速度式を提出した。(5)金属イオンによるアロマー化促進作用 モデル金属塩として塩化マグネシウムを用い、クロロフィルa、a'、b、b'のアロマー化速度定数を〔Mg^<2+>の関数として測定した。速度定数が〔Mg^<2+>〕のと0.5〜1次に比例することより、反応メカニズムを推定した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 渡辺正,小林正美: 日本化学会誌. 1988. 383-395 (1988)
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[Publications] 渡辺正: 生産研究. 40. 323-325 (1988)
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[Publications] Hitoshi,Mazaki;Tadashi,Watanabe: Bull.Chem.Soc.Jpn.61. 2969-2970 (1988)
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[Publications] Masami,Kobayashi;Tadashi,Watanabe;Andreas,Struck;Hugo,Scheer: FEBS Letters. 235. 293-297 (1988)
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[Publications] M.Kobayashi;T.Watanabe;M.Nakazato;I.Ikegami;T.Hiyama;T.Matsunaga;N.Murata: Biochim.Biophys.Acta. 936. 81-89 (1988)
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[Publications] 小林正美,渡辺正: 生産研究. 41. (1989)