1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
63602532
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
神戸 宣明 大阪大学, 工学部, 講師 (60144432)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 真二 大阪大学, 工学部, 教授 (00029050)
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Keywords | セレンの分離 / テルルの分離 / カルバモセレノアート / アミン |
Research Abstract |
高機能性材料の開発には、さまざまな元素の持つ特性の解明とその活用が1つの重要な鍵となり、その研究段階では今までほとんど利用されなかった多種類の元素が用いられている。しかしながら、その処理技術に関する研究は少なく、処理法はほとんど開発されていない。本研究では、最近電子材料に多用されつつあるセレン、テルル等のカルコゲン元素に注目し、特にこれらの研究、製造、廃棄過程で不用となり、適切な処理法がないまま放置されているセレン・テルルの混合物から、それぞれの元素を高純度で分離、回収する新しい方法を開発することを目的として行なった。本研究を推進するに当たっては、従来法でしばしば用いられる蒸留、昇華等の操作は用いず、セレンとテルルの化学的反応性の差異を利用する新しい分離法の開発をめざすとともに、実用化を考慮し、用いる試薬としては、安価かつ多量に供給される工業用試薬に限定した。これらの条件のもとに、セレンおよびテルルと種々の試薬との反応を詳細に検討した結果、一酸化炭素との反応においてセレンとテルルに大きな反応性の差異があることを見いだした。セレンは第1級および第2級アミン存在下、常温で一酸化炭素と容易に反応し、カルバモセレノアートとして溶媒に可溶となった。一方、テルルはこの条件下では全く反応せず、瀘別により回収された。次に、カルバモセレノアートからの単体セレンの回収法を検討した。第1級アミンの場合には、加熱によりセレン化水素に誘導し、その酸化または接触熱分解反応により単体セレンを得る方法が利用可能なことを明らかにした。また第2級アミンを用いる場合には、カルバモセレノアートを80度から100度で熱分解することにより、単体セレンをほぼ定量的に回収できることを見いだした。後者の方法は、一酸化炭素およびアミンを回収、再利用できることにより、前者の方法より有利と考えられる。
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